吉田拓郎「最終章はラジオ」3年半ぶりレギュラー

3年半ぶりにパーソナリティーに復帰する吉田拓郎(撮影・酒井清司)

 吉田拓郎(70)が8日、都内でニッポン放送の新番組パーソナリティー発表会見に出席した。「吉田拓郎 ラジオでナイト」(来月2日スタート、日曜午後11時半)で3年半ぶりのラジオパーソナリティーを務める。「人生の最終章はラジオで締めくくりたい」と決意を口にした。

 日本音楽史のレジェンドが「レギュラー番組の最終章」に選んだのはラジオだった。拓郎は70歳にしてたどり着いた決意を語った。「いろんなことが、いろんな意味で最終章に向かいつつある。音楽も含め、いろいろ考えるところがある。終末、終焉(しゅうえん)というか、最終章はやっぱりラジオで締めくくるのが、大事な青春の幕の閉じ方になるかな」。少々重い空気に包まれたことを感じたのか「というとすごくいい番組を連想しがちですが、大した番組ではないです」と言って場をなごませた。

 ラジオパーソナリティーとしても人気を獲得したミュージシャンの先駆者だった。デビュー1年後の71年にはTBSラジオ深夜放送「パックインミュージック」にレギュラー出演して多くの若者たちの心をつかんだ。その後74年からニッポン放送「オールナイトニッポン」、78年から文化放送「セイ!ヤング」でパーソナリティーを務めた。拓郎はこの日「ラジオは僕にとってはとても大事な青春でもある」と言った。

 13年9月まで同局「坂崎幸之助と吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD」のパーソナリティーを務めていた。3年半ぶりのラジオ復帰。「ラジオと長い付き合いをさせていただき、そろそろ自分の最終レギュラー番組を考えたいなと思った。人間として1人で生きていけるところを見せなきゃいけないと思って」。

 03年4月、肺がんでツアーを延期後、6月のラジオ収録で仕事復帰してファンにメッセージを届けた。体調不良で07、09年のツアーも延期や中止となったが、10年に出演したラジオで、ツアー中止後初めての歌声を披露した。ファンと自分をつなぐラジオが、いつも自分を支えてくれた。

 新番組は「リスナーがメインになれる番組を作れるかなと思っています。吉田拓郎は引き立て役でいい。最終章としてはそういう引き際にしたい」。多くの名曲が生まれた背景や秘話も語るつもりという。【川田和博】