勘九郎&阿部サダヲで19年クドカン大河リレー主演

会見で記念撮影をする、左から阿部サダヲ、中村勘九郎、脚本の宮藤官九郎氏(撮影・狩俣裕三

 歌舞伎俳優中村勘九郎(35)と阿部サダヲ(46)が、19年NHK大河ドラマの主演に決まった。3日同局が発表した。タイトルは「いだてん~東京オリムピック噺」。主演は2人がリレー形式で務め、前半は勘九郎が日本人初の五輪選手金栗四三を、後半は阿部が64年の東京五輪招致に尽力した田畑政治を演じ、64年までの日本の五輪の歴史を描く。勘九郎は、故中村勘三郎さんと親子2代での大河主演となる。

 04年「新選組!」以来の大河出演となる勘九郎は「歴史ある大河ができることは本当にうれしい、幸せ、誇りに思います」とあいさつした。その後、父を意識し「歌舞伎俳優なのに近代を演じられる僕の方が、ちょっと勝ったと思います」と笑顔を見せた。また、主演決定を父はどう言ってくれるかと聞かれ「『自分も出せ』と(宮藤氏に)直談判しに行くと思う。『俺が晩年やるよ』と言うと思う」と話した。

 父が大河に主演し、子供も主演を務めるのは65年「太閤記」、82年「峠の群像」で主演した緒形拳さんと92年「信長」で主演した緒形直人以来、2組目となる。演じるのは金栗四三(かなくり・しそう)。日本が五輪初参加した1912年「ストックホルム大会」にマラソン選手として出場し、生涯をマラソンにかけた人物。その後箱根駅伝をつくり多くの弟子を育てた。

 一方、阿部は脚本を手掛ける宮藤官九郎氏とは気心知れた間柄だが、ドラマで宮藤氏とタッグを組むのは約10年ぶりという。「『あまちゃん』出てたよね? とよく聞かれますが出てません。『いだてん』に出られて良かった」。また「宮藤さんが大河の脚本書くと決まってから、宮藤さんのところに『主役は俺じゃないですか』と言いに来る人がいっぱい来ていると聞いて大変だな、無理だなと思った。そういう人たちに相当な目で見られるプレッシャーはある」と笑わせた。

 演じるのは田畑政治(たばた・まさじ)。政治記者でありながら、日本水泳の基礎を作った人物だ。アジア初の1964年東京五輪招致に情熱をかけた男で、異名はカッパ。阿部は「カッパの役をやるわけじゃないですよね」と宮藤氏に確認し、会場の笑いを誘っていた。また記者役を演じることについて「『政治さん』が政治記者とはすごい。今日、会見に来てる記者も、つまらなそうな顔をしている人もいて興味ある。(記者について)掘り下げたい」とも。同局によると、大河におけるリレー形式の主演は、津川雅彦、西田敏行、尾上辰之助の00年「葵 徳川三代」以来という。【中野由喜】

 ◆「いだてん」 1909年の東京を舞台に「スポーツ維新『ストックホルム大会』編」と題し、マラソンの金栗四三と短距離走の三島弥彦の友情と同大会などを描く。続く「オリンピックの光と影『ベルリン大会』編」で、1930年にスポーツ大国へと成長した日本に東京五輪を招致しようと、田畑政治と東京高等師範学校校長で講道館柔道創始者、嘉納治五郎の2人が奮闘する姿を描く。64年東京大会の準備のドタバタ劇も。また、ドラマの語りの役を、落語の神様といわれた古今亭志ん生に設定。志ん生を演じる人物も登場する。