真田丸で人気再燃64歳草刈正雄の初写真集は参考書

初のフォトブック出版が決まった草刈正雄(撮影・野上伸悟)

 草刈正雄(64)が初写真集「草刈正雄 FIRST PHOTO BOOK」(双葉社)を5月12日に発売する。60代で写真集の出版は異例だが、昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」で沸騰した人気にも後押しされて実現した。初版1万部予定は一般的な写真集の3倍以上。大人の男性ファッションも楽しめる1冊になっているが、私生活では意外にも服装に無頓着という。

 「照れくさいですよね。この年で写真集なんて」。草刈は苦笑いするが、写真集の完成度は高い。全112ページで100点の写真を掲載。「真田丸」の場面写真6枚以外は全て撮り下ろしの力作だ。ダンディーなスーツ姿からリラックスした部屋着姿、趣味のテニスを楽しむ様子まで撮影した。ページをめくりながら「若いですね。僕らが小さい頃は、64歳といえばほとんど死んでますから」と冗談を交えて苦笑いした。

 芸歴47年。キャリアの原点はモデルだった。男性化粧品のCMなどで見せた甘いルックスですぐに人気を獲得。女性はもちろん、男性も憧れる存在だった。今も抜群のスタイルと年齢を重ねた大人の魅力は健在だが、「まったくのおしゃれオンチです」という。「おしゃれに興味がない。面倒くさがりで、そこまで気が回らない。今はほぼスエットで、町に出るならジーパンにTシャツ。寒い時は、ジャンパーを引っ掛ける。昔から変わらないです」。色も紺や黒など地味なものを好む。仕事の服装はスタイリストに任せ、普段は妻が買った洋服を何も気にせずそのまま着ている。

 写真集は100の質問やインタビューも掲載した。自分については「コンプレックスだらけ」と答えている。「僕は本当にモテなかった。なぜなら僕はしゃべれない。黙ってしまうから」。二枚目にも意外な弱点があった。「学歴コンプレックスがすごい。中卒ですから。他の俳優たちと芝居したりしていると、みんな会話が面白い。賢いんです。そうなると気持ちがシュンとなって入れない。ものすごくネガティブなんです」。

 内面の悩みはともかく、今も幅広い層から支持される憧れの存在だ。では、草刈が考える「格好いい男」とは。「男は会話が大事。でも一番格好いいなと思うのは素直な人。年を取れば取るほど感じるよね」。

 写真集は「参考書」にもなっている。着用した服などを自分も着てみたいと思った人のために、ブランド名や値段を明記した。「女性はもちろん男性のファッションの参考になれば」。男性に向けたファッションのアドバイスを聞くと「俺自身、おしゃれオンチだから」と照れたが、「俺もそうだけど、何か1つ取りえがある。それに自信を持てば変わっていくのでは。気にせず、素直に好きなものを楽しむことかな」。気持ちのままにファッションを楽しみ、人生を楽しむ。やっぱりダンディーだ。【近藤由美子】

 ◆草刈正雄(くさかり・まさお)本名同じ。1952年(昭27)9月5日、福岡県生まれ。父は米国人、母は日本人。70年から資生堂専属モデルとなり、CM出演で一躍注目される。74年「卑弥呼」で映画デビュー。77年にマルベル堂プロマイド俳優部門年間1位。ドラマは78年NHK「十字路」85年NHK「真田太平記」など、映画は80年「復活の日」82年「汚れた英雄」などに出演。昨年NHK大河ドラマ「真田丸」で主人公の父、真田昌幸を演じた。185センチ。血液型O。