かっこ悪い舘ひろし、黒木瞳とW主演で映画初共演

夫婦を演じる舘ひろしと黒木瞳

 舘ひろし(67)黒木瞳(56)が初の夫婦役で、映画「終わった人」(中田秀夫監督、来年公開)でダブル主演することが13日、分かった。映画では初共演となる。原作は内館牧子氏の同名小説で、「リング」などホラー作品で知られる中田監督にとって初のロマンチックコメディー作品。

 「あぶない刑事」シリーズで30年間、かっこいい刑事を演じてきた舘が、「終わった人」では、定年を迎えたサラリーマンを演じる。大手銀行のエリートコースから外れ、仕事に未練を残したままの主人公だ。

 昨年公開の「さらば あぶない刑事」でシリーズが完結、対極の役をやりたいと思っていたという。舘いわく「30年間演じた刑事を定年退職してから、再就職先を探していた」。当初は、役の設定に戸惑ったそうだが、舘は「このまま『かっこいい舘ひろし』を演じ続けていたらかっこ悪いし、気持ち悪いでしょう。ちゃんと自分を見つめてみて、やるべきだと思った。ちょっと大人になったかな」と話した。

 夫婦、恋愛、健康、再就職、経済的問題などが描かれており、舘は「今度の職場はハーレーに乗ってショットガンを撃つシーンとは無縁。定年退職した私がコミカルに見えて、笑えて、最後にジーンとくる映画になると思います。この年になったからこその新しい舘ひろしをご覧いただける」と自信を見せている。

 輝きを失った夫と向き合えない妻を演じる黒木は、ドラマでは舘と3回共演したが、4回目で映画初共演、初の夫婦を演じる。黒木は「最高にうれしいです。20代からご一緒しているので安心感は半端ないです。懐に飛び込み撮影に臨みたい」とコメントした。

 キャスティングについて、中田監督は「終わってないぞ、とあがく人を描いているので、パリッとした2人に出てほしかった。枯れた夫婦の愛情物語ではなく、笑えて、泣けて、ドタバタもあるロマンチックコメディー」と説明、4月に数シーンを盛岡で撮影した時を振り返り「かなりいい感じ」と手応えを見せた。

 ホラー界を代表する中田監督だが、実はメロドラマ、コメディー好き。原作にほれ込み、初めて自分で企画を製作会社に持ち込んだ。7月1日に本格的にクランクイン、8月に撮了。【小林千穂】

 ◆「終わった人」 大手銀行の出世コースから子会社に転籍し、定年を迎えた田代壮介(舘ひろし)。美容師の妻千草(黒木瞳)は、毎日後ろ向きなことしか言わない壮介と距離を置き始める。壮介はスポーツジムに通い始めるが満たされず、再就職先を探すことに-。内館氏原作の小説は15年9月に発売され、18刷15万部を売り上げている。