欽ちゃん主演ドキュメント映画を土屋Pが監督

萩本欽一のドキュメンタリー映画「We Love Television?」ポスター

 “視聴率100%男”の異名を持つ萩本欽一(76)が、初のドキュメンタリー映画「We Love Television?」(11月3日公開)に主演することが25日、分かった。日本テレビ系「進め!電波少年」でプロデューサーを務めた土屋敏男氏(60)の映画監督デビュー作でもある。土屋氏との「視聴率30%番組」作りの企画から始まった作品だが、最近映画化を知った欽ちゃんは「僕の葬式用の映像だと思っていた」と笑った。

 「We Love Television?」はテレビ界のレジェンドとも呼ばれる欽ちゃんに密着し、ヒット番組を作る秘密を探るドキュメンタリー映画。知られざる素顔や生の声が多く流れるほか、女優田中美佐子、芸人河本準一、放送作家ら欽ちゃんと関わる人々も登場する。

 映画誕生のきっかけは、企画を温めていた土屋氏が11年1月、アポなしで欽ちゃん宅に突撃。「視聴率30%を超える番組を作りましょう」と持ち掛け、自身が思ったことをカメラに語りかけるよう欽ちゃんに依頼したことだった。

 2人は日本テレビ系「欽きらリン530!!」(88年)で出会った。ディレクターを務めていた土屋氏は「テレビにとって視聴率30%っていうのは奇跡。その奇跡の起こし方は、30%超の番組を連発した欽ちゃんについたら分かるんじゃないかと思った」。結局、欽ちゃんが楽屋や自宅でビデオカメラで自撮りした映像を軸に、コントなどを加え「欽ちゃん!30%番組をもう一度作りましょう(仮)」という特番となり11年7月に放送された。

 視聴率は2桁に及ばなかったが、欽ちゃんは手応えを得た。「僕の中では1作では終わらない。これがあって、次の成功がある」。実際、80年10月開始のフジテレビ系「欽ちゃんの9時テレビ」は半年で打ち切り。しかしタイトルを変えた後番組「欽ドン!良い子悪い子普通の子」は最高視聴率38・8%の怪物番組になった過去があった。

 一方土屋氏には、欽ちゃんの自撮りを含め膨大な映像素材が残された。土屋氏は「つなげたら8時間くらいのものが、編集していたら2時間くらいに。それで去年の秋くらいに映画にしようと思った。ちなみに60歳で映画監督デビューです(笑い)」。土屋氏は現在、日本テレビで、新たな映像の活用方法を研究する部署に属している。欽ちゃんは「その後もカメラを抱えて来るから、僕の葬式に流す映像にちょうどいいなと思っていた」と苦笑する。

 映画のエンディングではドローンで撮影した映像も流れる。土屋氏は「僕にとって追いつきたいけど追いつけない師匠、常に動き続ける萩本欽一の貴重な映像です。『電波少年』をやった時、自分が欽ちゃんから何を教わったか分かった。それは奇跡を起こすこと。それを伝えていきたい」。

 欽ちゃんは「テレビは、他人の意見は聞かずに自分の好きなことをやればいい。まさか映画を撮ってるなんて、つい最近まで気が付かなかった。人生の中で唯一の納得のいかない仕事だね」と笑っている。【小谷野俊哉】

 ◆萩本欽一(はぎもと・きんいち)1941年(昭16)5月7日、東京生まれ。66年に坂上二郎とコント55号を結成。「スター誕生!」「オールスター家族対抗歌合戦」などの司会、80年代「欽ドン!良い子悪い子普通の子」「欽ちゃんのどこまでやるの!」など民放各局ゴールデンタイムでレギュラー。15年4月から駒大仏教学部で学んでいる。家族は夫人と3男。血液型A。