舘ひろし&黒木瞳W主演 コメディー植木等さん参考

映画「終わった人」の撮影現場。左から田口トモロヲ、広末涼子、黒木瞳、舘ひろし、臼田あさ美

 舘ひろし(67)黒木瞳(56)がダブル主演で夫婦を演じる映画「終わった人」(中田秀夫監督、来年公開)の都内撮影現場がこのほど、報道陣に公開された。

 広末涼子(37)演じる夫の恋の相手が、夫婦と鉢合わせするスリリングな場面だったが、舘は「(鉢合わせは)10代の時にある。男は女が鉢合わせすると無言になることを学んだ」「浮気を知っていて何も言わない女房はファンタジー」などサービストークして、現場を盛り上げた。

 ドラマ、映画「あぶない刑事」シリーズに代表されるように、芝居はクールで渋いイメージの舘だが、キャストは皆、「チャーミング」と口をそろえた。舘も「楽しいからやりすぎちゃう。中田監督も笑ってくれるから、調子づいちゃって。次の日、失敗したなと思うことが毎日」と、ロマンチックコメディー作品の撮影を満喫している。最初は中田監督に、二枚目でコメディーもできる米俳優ケーリー・グラントのようにとアドバイスされたそうだが、撮影が進むにつれコメディースター植木等さんのように、と言われるとうれしそうに明かした。

 舘は定年後の人生を模索する男を演じており、同作を「あぶ刑事」シリーズ完結後の再挑戦と位置付けている。「作品になった時、自己満足で終わらないようにしたい。まだまだイケるなと思う瞬間はないけど、終わったなと思う瞬間もない」と、気を引き締めると同時に余裕も見せた。

 この日は、舘、黒木、広末、親戚役の田口トモロヲ、夫婦の娘役の臼田あさ美のメイン5人がそろう最初で唯一の撮影日。家族がいる中に恋の相手が訪ねてきて冷静を装う夫、微妙な表情で見守る妻、うろたえる女性。それぞれ一瞬で複雑な感情がうずまく難しい場面だったが、黒木も「笑いの絶えない現場です」と撮影に臨んでいた。【小林千穂】

 ◆「終わった人」 大手銀行から子会社に転籍し定年を迎えた壮介(舘)。ジムで体を鍛えたり図書館に通うが、満たされない。美容師の妻千草(黒木)は、後ろ向きな壮介と距離を置き始め、夫に恋を勧めるほどに。文学を学ぼうと入ったカルチャースクールで、久里(広末)と出会う。笹野高史、渡辺哲、ベンガル、高畑淳子、温水洋一、清水ミチコも出演。内館牧子氏原作。