非常事態宣言のフジ宮内社長、1年後大幅改編も覚悟

記者の質問に答えるフジテレビ宮内社長

 フジテレビの宮内正喜社長(73)がこのほど、日刊スポーツのインタビューに応じ、番組「全取っ換え」くらいの意気込みを持っていることを明かした。亀山千広・前社長に代わって、6月28日に就任してから2カ月半。近年、視聴率低迷が続く同局だが、節目となる10月改編を終えた新社長は、最終的にはタイムテーブルを白紙にするくらいのつもりで改善していくとの決意を語った。

 フジテレビに入社して51年目。関西支社の営業を振り出しに編成、バラエティー、事業の担当や専務を経て、07年に岡山放送社長になった。2年間、BSフジ社長を務めた後、低迷するフジテレビの社長に就任した。「フジテレビの人間は、挑戦するDNAを持っている。こういう視聴率や業績になって不思議だなと思ってるところで、10年ぶりに帰ってきた。萎縮してるとかどん底とか書かれてますが、それほどではないというのが実感。7月期の月9『コード・ブルー』が良くて活気が出てきた。本来のチャレンジャー精神が出てきた」と言う。

 フジテレビは今月4日の10月改編発表で、異例の「非常事態」を宣言。今回を第1弾として来年4月、10月と大幅な改編を進めていくことを示した。宮内社長は「企画やドラマについて、具体的な指示をすることはない。ただ、視聴率を上げて業績を回復する大命題がある。その3つの改編を経て、目に見える形の視聴率回復をしていく。最終的には、タイムテーブルを真っ白にするくらいのつもりで改善をしていく」。1年後は、全く違う番組が並んでいることも「可能性はある」と言い切った。

 番組大改革は始まったばかり。「とんねるずのみなさんのおかげでした」は前シリーズから29年、「めちゃ×2イケてるッ!」は21年続いている。「『宮内社長は本当にフジを変えられるのか』と、活字には必ず書いてある。非常にじくじたるものがあるんですけど、編成が『視聴率が下がってきている。だから、こういう企画に変えたい』と決めてくれば、全く反対しないよ、と。だけど、そのためには『どういう企画にして視聴率アップを図るんで、やめざるを得ない』という理由がなくては。そういうことであれば、協力すると言ってある」とタブーは、存在しない。

 就任と同時の機構改革で、21局3室から14局4室体制へ。既存の編成局、制作局、映画事業局、広報局を編成局の下に統合して、石原隆取締役編成統括局長(56)が担当する。宮内社長は「彼が新人で編成部に配属された時に、一緒だった。『本当にこいつ、テレビ局に向いているのかな』って。おとなしくてね。呼び出して、同期で自由にやっている人間の名前まで出して『よく見ろ! 何を遠慮してるんだ』と。それ以来、どうもはじけたらしいんですよ(笑い)。今は、彼に託すということで、お願いをしました」。

 73歳で社長就任。在京キー局の社長では最年長。「まあ、経験値だと思う。僕はフジテレビに40年いて、10年離れていて、ちょうど放送人50年。で、今は51年目。73歳っていう実年齢はあるけど、本人は気にしていません。50年の放送人としての経験を生かす時」。

 燃え尽きる覚悟だ。【小谷野俊哉】

 ◆宮内正喜(みやうち・まさき)1944年(昭19)1月28日、山口県生まれ。慶大法学部卒。67年フジテレビ入社。営業、編成、事業部門を歩み、99年編成制作局長。00年執行役員。01年常務取締役。07年岡山放送社長。15年BSフジ社長。健康法は水中ウオーキング。