ひふみん緊急手術「療養励む」さすがに忙しすぎた

加藤一二三氏(17年3月21日撮影)

 「ひふみん」こと、将棋の加藤一二三・九段(77)が2日、都内の病院で胆石性急性胆のう炎の緊急手術を受けた。所属事務所が発表した。手術は無事終了。1週間ほど入院する予定だ。今年6月に約63年に及ぶ現役生活に別れを告げた。引退後も、名人を獲得するなどトップ棋士としての才能と無頓着な外見のギャップ、ユーモアを交えた独特の話しぶりが受け、連日テレビに出るなど、引っ張りだこだった。

 加藤九段が痛みを訴えたのは、今月1日のこと。2日になって都内の病院で診察を受けたところ、胆石性急性胆のう炎と診断された。「できる限り早い段階での手術が必要」との医師の判断で、手術となり、無事終了した。

 国民的な人気者で、10月29日には、今年6月に客員教授に就任したばかりの仙台白百合女子大で初仕事となるトークショーをこなした。同日はその後、同市内の東北大で、脳科学者の茂木健一郎氏とのトークショー。そのまま翌日のテレビ収録に備えて静岡県熱海市に移動するなど、忙しい毎日だった。

 今年6月の引退後、テレビ番組などメディアへの登場を続けた。取材なども、忙しい合間に時間を調整して応じていた。「仕事があるのはありがたいこと。体が動く限りは働きますよ」と話していた。

 先月25日から、嵐の相葉雅紀と共演した「郵便局の年賀状印刷2018」のCMも、放送が始まったばかり。バラエティー番組では卓球をするなど、元気な姿を見せていた。

 その一方で、77歳という高齢と、自称99・5キロという体重を考慮して、現役時代は一気に5枚も食べたほど大好きな板チョコを控えるなど、糖分の取りすぎに注意していた。

 日本将棋連盟棋士会会長の中村修九段(54)は、「引退後は将棋のイベントに何でも出てくれたり、日本中を駆け巡っている印象があった。元気に見えて体力もありそうですが、さすがに忙しすぎたのではないでしょうか」と心配した。

 加藤九段は事務所を通じて「お医者様の診断のもと、大事をとって1週間ほど術後の休養を取らせていただきます。また元気に皆様にお目にかかれる日を心待ちにして、療養に励んで参ります」とコメントした。

 ◆胆石性急性胆のう炎 右腹の上部に激痛が走る胆のう炎は、90~95%が胆石によって発症する。胆石は肝臓から分泌される胆汁の成分が固まり、胆のうや胆管にたまった結石で、胆のうの収縮機能の低下によって起こる。治療は炎症が軽ければ、絶食、輸液、抗生物質の投与だが、重症の場合、胆のうを取り除く腹腔(ふくくう)鏡手術が行われる。