公開中の米映画「ブレードランナー 2049」のキャンペーンで、先日、主演のハリソン・フォード(75)が来日した。
35年ぶりの続編。さぞかしいろんな思いがあるのだろうと想像していたのだが、会見やイベントでのこの人の答えは意外なほどサラッとしていた。
出演の発端は前作監督で今回製作総指揮にまわったリドリー・スコット監督からの電話だったという。
「リドリーはめったに電話をしない男なんだ。それがかけてきたから何だ、と思ったわけさ。『ブレードランナー』の続編を作るんだと…」。何やら劇的なエピソードを期待させる切り出し方ではないか。が、続けて「まず、シナリオを読ませてくれ、出演を決めるのはそれからだ、と応じたんだよ」と、話は通常の出演交渉の雰囲気に落ち着いてしまった。
映画史に残るSF名作の続編始動! の瞬間もこの人はいたって「普通」に受け止めたようである。「スター・ウォーズ」シリーズのハン・ソロ、「インディー・ジョーンズ」シリーズ…。この人がいったん引き受けた役の息が長いのは、実は泰然自若としたこの「普通」でいられる感覚にあるのだと、改めて思った。
最近の海外俳優の来日PR活動は効率的に組まれていて、大物になるとテレビの情報番組が数分刻みの入れ替え制で取材する場合が多い。
質問が重なったり、それぞれの番組に合わせたキャッチーなコメントを求められることになる。今回は関係者の間で「ハリソンのテンションは低め」と話題になっていたようだが、持ち前の「普通」感覚の上に、表層的にならざるを得ない質問の連打があってのローテンションだったのではないだろうか。
80年代にはゆったりとした単独インタビューの機会もあって、映画への思いをじっくり聞いたり、意外な素顔も浮き彫りになった。75歳という年齢もあるが、もう少し生き生きとしたハリソン・フォードが見たかった気がする。