堺雅人が高畑充希と震えた 冬夜の鎌倉で野外上映会

映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」の鎌倉プレミアで高畑充希と堺雅人は鶴岡八幡宮で記念撮影(撮影・山崎安昭)

 堺雅人(44)高畑充希(25)が21日夜、気温9度の中、鎌倉・鶴岡八幡宮に和装姿で登場した。鎌倉に暮らす夫婦を演じた映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」(山崎貴監督、来月9日公開)のPRで、1000年の歴史をもつ鶴岡八幡宮に、1000人の観客を集め、同所史上初の「奉納野外上映イベント」を行った。

 本宮から続く石段を下りると、堺は寒さのせいかややうわずった声で「前代未聞の境内で上映ということで、光栄に思っています」とあいさつした。VFX(特殊視覚効果)を駆使してファンタジックな世界を描いた作品。「一見鎌倉のように見える、うそのようなVFXがあるんです。本当は違うぞってところは、鎌倉の方にしか分からないと思います」と、地元ならではのトークで盛り上げた。

 異例の“お宮プレミア”は、制作陣の熱意のたまものだった。由緒ある鶴岡八幡宮でのイベント開催は、かなり敷居が高いといわれていた。配給の東宝は2年にも及ぶ交渉の末、地元鎌倉の銘菓「鳩サブレー」を販売する豊島屋の支援を獲得。映画宣伝の試写会イベントとしては「異例の金額」(配給関係者)がつぎ込まれた。前日20日から設営が行われ、境内に高さ4メートル、幅9メートルの巨大スクリーンを設置。スクリーンの前にパイプ椅子が敷き詰められたほか、本宮へ続く石段も客席となった。

 高畑は締めのあいさつで「あんまり(話が)長いと寒くなっちゃうから、早々に帰ります」と笑わせた。イベント前には参拝とヒット祈願も行ったが、「神様が気に入ってくれるといいなと思います」とニッコリ笑った。【杉山理紗】

 ◆「DESTINY 鎌倉ものがたり」 亜紀子(高畑)は、鎌倉に暮らすミステリー作家正和(堺)のもとに嫁ぐ。そこは幽霊や神仏と人々が仲良く暮らす不思議な街だった。ある日正和が目を覚ますと、亜紀子が不慮の事故で亡くなり“黄泉(よみ)の国”へ旅立っていた。正和は亜紀子の命を取り戻すため、黄泉の国へ向かう。

<主な異色イベント>

 ▼歌舞伎座 94年9月に初の試写会を実施し「忠臣蔵外伝 四谷怪談」を上映。映写機は3階に置いた。以降、「ラストサムライ」「出口のない海」などを上映。

 ▼上野・東京国立博物館表慶館 05年7月、堤真一主演「姑獲鳥(うぶめ)の夏」のイベント。作品に登場する病院が表慶館に似ていたため。

 ▼伊豆七島・式根島 10年10月、笑福亭鶴瓶が吹き替えで出演した米アニメ映画「怪盗グルーの月泥棒 3D」の試写会。島民に3Dアニメを見てもらおうと企画。同島では8ミリフィルムの作品を集会所で上映したことはあるが、本格的な試写会は初。

 ▼国際宇宙ステーション(ISS) 11年7月、「はやぶさ/HAYABUSA」を上映し、当時、ISS滞在中の宇宙飛行士、古川聡さんが観賞。劇場公開前の映画が宇宙で上映されたのは初めて。