4代目春団治襲名の桂春之輔、高倉健さん秘話明かす

来年2月に4代目春団治の襲名興行をスタートさせる大阪松竹座前に、師匠から譲られた羽織、羽織ひもを着けて立つ桂春之輔

 来春に師匠の名跡を継ぎ、4代目春団治を襲名する桂春之輔(69)が4日、大阪・道頓堀の角座で、2月11日の大阪松竹座から始まる襲名興行について会見し、故高倉健さんから「春団治」の名前は「落語の御本家」と言われた秘話を明かした。

 師匠の3代目春団治さんの一周忌法要が終わった今年1月、親族から「名跡を継ぐように」との遺言を受け取った。2月に襲名を発表し、ほぼ10カ月。酒豪の春之輔も「以来、酒飲んでも楽し(く)ないし、心から笑ったことない。シャンパン開けても、喜ぶんは店のママさんだけです…」。重責を感じる日々だ。

 「僕が以前、高倉健さんに『春団治の弟子です』と言うと、健さんは『あ、そうなんだ。じゃ、落語の御本家だね』とおっしゃった。それだけネームバリューのある名前。(襲名する)責任を感じています」

 重圧だけではない。もともと、春之輔は、落語というより、師匠の「3代目春団治ファン」だったため、落語家になった。今なお「師匠のファン」を続け、師匠のネタは「ほぼ覚えている」が、敬愛が強過ぎるがゆえ、高座にはかけない。そんな春之輔だけに、誰よりも名跡の重みを知る。

 襲名が決まってからも「(師匠の)奥さんに『辞退したい』言うたことがある」とも明かした。

 これには、先代夫人ら親族からは「アホなこと言いな」と一喝され、今度は「僕は年齢的に(名跡継承の)ワンポイント、ショートリリーフ。5代目へはよ、バトン渡さないかん」と言うと、上方落語協会会長の桂文枝(74)から叱責(しっせき)されたという。

 その文枝は、2月11日の大阪松竹座での襲名興行初日に昼の部に出演。昼夜で口上に出席し、一門からは弟弟子のきん枝、文珍も出演が決まっている。

 上方落語協会で、文枝会長は、自身を副会長として支える春之輔に信頼を寄せており、春之輔は「(弟弟子もそろっての出演は)文枝会長の厚意ですわ。披露目の会にはどこでもつきあうと言うてくれてます」と、真顔で感謝した。

 天真らんまんな春之輔から、笑顔が消えたのは、名跡の重み、重責を感じ、覚悟を決めたからでもある。

 「師匠で(名跡が)止まらずに、僕が継いだということは、兄弟弟子、孫弟子たち、一門に(次代の)資格があるということ。一門の励みになればいい」

 一門の発展を願い、春之輔は「僕は5代目春団治を見事に作り上げたい」。師匠から譲り受け、仕立て直した羽織、師匠が愛用していた羽織ひもを身に着け、決意を新たにしていた。

 襲名興行は2月11日の大阪松竹座からスタートし、同17日には和歌山でも開催。4月の「いけだ春団治まつり」(池田市)、5月以降は天満天神繁昌亭で、ほかにも兵庫、愛知、東京、北海道、福岡など、すでに再来年春までの興行が予定されている。

 皮切りとなる大阪松竹座公演には、3代目春団治さんが親しんだ京都の祇園甲部芸舞妓、祇園東芸舞妓が祝いに駆けつけることも決まった。