阿部寛主演の新参者シリーズ完結「早く見てほしい」

「祈りの幕が下りる時」完成記念イベントに参加した前列左から田中麗奈、阿部寛、松嶋菜々子、溝端淳平、後列左から春風亭昇太、伊藤蘭、小日向文世、飯豊まりえ(撮影・中島郁夫)

 阿部寛(53)が12日、東京・日本橋室町の仲通りで主演映画「祈りの幕が下りる時」(福沢克雄監督、来年1月27日公開)の完成イベントに出席した。原作は作家東野圭吾氏(59)の「新参者」シリーズの一作。同シリーズは阿部主演で10年に連続ドラマ化されて以降、スペシャルドラマの放送や映画化もされた。シリーズは今回で完結する。シリーズの舞台でもある日本橋の街中に敷いた長さ50メートルのレッドカーペットを歩いた阿部は「多くの方が集まってくれて幸せな気分。自信作です。早く皆さんに見てほしい」と胸を張った。

 シリーズを通して警視庁日本橋署の刑事、加賀恭一郎を演じた。ポーカーフェースで鋭い洞察力の持ち主。不明な点は徹底的に調べ上げ、事件解決後は真相をきちんと当事者に告げる。約8年間演じた愛着ある人物について「ここまで真っすぐな役をやらせていただくことはなかった」と振り返った。

 俳優としてブレークした「トリック」シリーズでは自信家に見せかけて実は小心者の天才物理学者、映画の「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋(がいせん)」では口が達者で厚かましい厚労省の役人、映画「テルマエ・ロマエ」シリーズでは古代ローマの浴場設計技師など、シリーズものでは個性的な役が多かった。「これまではエキセントリックな変わった役柄が多かったんです」。

 加賀刑事については「何年かに1度帰ってこられるような基盤だった」と言い「役者としての芯の部分だと思って愛してきたので、寂しい部分もありますけど、その分、素晴らしい作品にしようと頑張りました。感無量です」と完結編にかけた思いを明かした。同シリーズのファンで阿部と初共演の松嶋菜々子(44)は、撮影現場で初めて会った時、阿部の自然なたたずまいに、思わず「あっ、加賀さんがいる」と思ったという。

 また、デビューまもない88年ドラマ「花嵐の森ふかく」以来、約30年ぶりの共演で母親を演じた伊藤蘭(62)から「すっかり大人の渋い、いい俳優さんになられて。うれしい限り」と声を掛けられると、阿部はしきりに照れていた。