萩原健一ミュージシャンと俳優の二刀流「技はある」

DVD上映後に ア コースティックギターにに合わせて歌った「さよなら」でブルーズハープを演奏する萩原健一

 歌手で俳優のショーケンこと萩原健一(67)の歌手活動50周年記念ライブDVD「PREMIUM LIVE LAST DANCE 2017」(20日発売)のプレミアム上映会が13日、都内で行われた。今年10月4日に大阪・なんばハッチで行われたデビュー50周年記念ツアー最終公演を収録している。

 上映後、萩原は「健ちゃんでもショーケンでも、萩ちゃんでも呼んでください」といいながら登場。すかさず「健ちゃ~ん」と声が掛かると「ありがとう」と笑顔。ツアーについて「年齢のことを忘れて、楽しくやろうと思った。精いっぱいやりました」と話した。

 67年にグループサウンズのザ・テンプターズのボーカルとしてデビューした萩原は「50年はあっという間。長い年月ですが、日々、楽しくやっていれば、つまずいたことも楽しく思える」と振りかえった。

 50周年を迎えて、音楽活動を本格的に再開するに当たって、初めて自分の名前を冠した「ショーケンバンド」を結成した。

 「私の最後の絆かもしれない。仕事としてキチッとやってもらえるかを確かめるために、ちゃんと面接して質疑応答してメンバーを決めた。一流のプレーヤーたちでスケジューリングのスリ合わせが大変」。自身より若いメンバーたちに「私と同じくらいの(年の)人たちは、みんなリタイアしてますから(笑い)。若返りとかじゃなくて、自然なことなんですよ」。

 DVDの制作では、編集に立ち会った。映画、ドラマなど映像制作について造詣の深い萩原だけに、カット数にこだわった。

 「今のJポップの映像はカット数が多すぎるんだ。今回の最初のカット数を聞いたら3000カット、トゥー・マッチ(多すぎる)。映画の『フーテンの寅さん』が500カット。いささか忙しい、深作欣二さんの作品で1800カット。忙しいのは目に良くないので、ちょっと減らしました」

 DVDのエンディングロールでは、映画のように出演者、スタッフの名前を流した。

 「そうですね、映画の人間でもあるし、ドラマの人間でもありますから。そうなっちゃいますね。自分はロックの人間だけど、チャイコフスキーとかも使う。ロールオーバー・ベートベンとはいわないけど、音楽は、いい音はすごく体にいい。医学音楽博士は、そう言っている」

 10月に発売された50周年記念アルバム「LAST DANCE」のレコーディングでは、常に一発録り。

 「その通り、待ったなし。正直、歌いながらブルースハープを吹くのは技がいる。高音と低音のキーの2つを吹くのは、ちょっと難儀ではあります。でも、そのスリル感、間違ったら間違ったでいい。1つだと幅が狭いので、低音と高いのがほしい」

 30年前、芸能生活20周年を迎えた時に、俳優の先輩である、今は亡き小林桂樹さんと三国連太郎さんに「萩ちゃん、20周年だからホテルでパーティーを開こうよ」と提案された。それが、50周年はCD、ツアー、DVD、俳優と精力的に活動した。

 「20周年は、僕は演歌歌手じゃないんだからと、お断りした。ただ、50周年はね。ここまで生きてると思っていなかったからね。私たちのジェネレーションは、若くして死ぬのが美化されていた。でも今、こうして健康で惜しみなくステージができる。こういう、ものの考え方になりました。それで、50周年はいいかなとなりました。無理はしないけど、健康であれば長く歌って行きたい」

 来年3月24、31日放送のNHKドラマ「どこにもない国」では、昭和の名宰相・吉田茂を演じている。ツアーを行っている間に撮影が行われた。

 「自画自賛するわけじゃないけど、まれに見る変身ぶり。吉田茂を演じるのを、(高画質の)4Kで撮る。外からのメークでは駄目なので、ふくよかな顔を作るのに口腔(こうくう)外科に言ってマウスピースを作りました。体重が70キロくらいだけど、吉田茂は110キロもあった人なので苦労しました」

 ライブの翌日が撮影というハードなスケジュールも。50年の歴史で、初めてミュージシャンと俳優の仕事を同時期にこなした。

 「今までしたことがなかった。下品な言い方ですが『技はある』。それを出させていただきました。正しくやらせていただいて、出来はいいようで(笑い)。これから先、まだまだ私自身、生まれて発表するものがある」

 最後にアコースティックギターの伴奏に乗せ、ブルースハープを吹きながら、DVDには収録していない「さよなら」を熱唱して、200人のファンに別れを告げた。

▼KENICHI HAGIWARA 50周年記念ライブDVD「PREMIUM LIVE LAST DANCE 2017」

【収録曲】1・Shoken Train 2・ぐでんぐでん 3・PM10時すぎ逢いたくて…(DON,T YOU KNOW) 4・ラストダンスは私に 5・ホワイト&ブルー 6・大阪で生まれた女 7・エメラルドの伝説 8・ハロー・マイ・ジェラシー 9・Sha La La 10・Ah!Ha! 11・どうしようもないよ 12・テンダーナイト 13・神様お願い 14・58年9月、お世話になりました(Thanak You My Dear Friends)