小室「曲が飽きられている認識が甘かったのは過信」

引退を表明する小室哲哉(撮影・鈴木みどり)

 18日発売の「週刊文春」で看護師女性の不倫疑惑を報じられた、音楽プロデューサー小室哲哉(59)が19日、都内で会見を開き引退を宣言した。

 小室は、会見開始から約50分間にわたり、持参した文書を元に引退に至った経緯、くも膜下出血で11年10月から療養中の妻KEIKO(45)、不倫疑惑が報じられた看護師A子さんとの関係など、引退の理由を語り続けた。

 小室は、既に行っている他アーティスト関連の仕事の継続を明言しつつ「楽曲は退かないで生きていってほしい」と未練もにじませた。一方で自身の才能が、大ヒットした90年代から枯渇していったことに気付かなかった、楽曲が飽きられていることに気付かなかったことに過信、甘さがあったことも吐露した。

 ◆楽曲への未練も…

 (17年の)年末、作り上げた楽曲の中でも、相手のある楽曲もあります。自分でも出来栄えが良かったなぁ、いいんじゃないかなぁという曲もあります。エイベックスにとっても、非常に大事な曲もあるのかなと思う時もあります。他のレコード会社、アーティストの方にとっても、大切な曲だなと思ってもらえる楽曲も、あるかなと思います。今後も歌いたいな、聴いていたいなと思ってもらえる曲も、あるのかなと思っています。そういった楽曲は、退かないで生きていってほしいなと思っています。(楽曲は)僕のものではなくて、歌う方のものなので…生かしていただけるものであるのであれば、育っていってほしいと思う。そう思うほど、僕の今のふらついた、自信のない考え、芳しくない体調、ネガティブ、否定的な状況が、自分の作る曲に影響がいってしまうのは1番、望んでいないです。少しというか1年以上…もしかしたら、それ以上、早まってしまったんですが、音楽家は音を作る仕事ですし、ピアノであったりバイオリン演奏だったり、そういったものに関する仕事も全て、退きまして…今回、ご迷惑をかけたことを、どうしても罪と罰という認識がしまして。

 現在、引き受けさせていただいているお仕事は、たくさんあります。そういう方(クライアント)とは直接、まだお話ししていないですし、解散しているグループじゃないプロジェクトがあります。話し合い、どういった思いを抱いているかということを、聞かなければいけないですが…望まれるのであれば、期待に応えるべく、最低限のことはまっとうしたいと思っていますが、自発的な音楽活動は…本日をもって終了となります。

 ◆芸能人になる気なし

 本当はですね、芸能人になりたかったわけじゃなくて、音楽をやりたくて始めた人間。自分もヒット曲を作る人間なんだと思ってやっていたのでもなく、ある程度、好きな音楽をやれたらいいなと思って始めたんですが、90年代の…自分も今でも全く、想像が出来ない(CDの発売)枚数であったりによる過信だったり、枯渇していっている能力、自分でも飽きてきている、皆さんも飽きてきているといった認識の甘さだったり…大体、約20年になっているんですね。お騒がせした今回の意味も含めて、そこそこ、まぁまぁの時期が過ぎたと思います。近い人間に話すのが最初であるべきだったかも知れませんが、メディアの皆さんを通して、皆さんが報告していただくことになるので、カメラ、映像などを通してお伝えするのが先決かなと思いまして、本日、急きょこうやってやらせていただいた次第です。

 ◆今後の生活へ不安も

 特に妻のKEIKO、当然、昨日まで話をしていますが、これから熟慮して、どうやっていこうかということも…少しだけお時間をいただきたいなというのが甘えですが。今回、ご迷惑をおかけした責任として、音楽活動の引退発表とさせていただきます。今までの、皆さんの報道の対応とは、少し違うかも知れません。(週刊文春の)取材を受けてから5日しかたっていない。今後の生き方であったり、少し時間をいただいて考えたい…KEIKOのこと含め、一緒に考えていきたいと思っています。勝手な苦渋の決断ではあります…本当に。でも、今回のお騒がせしたことへの、僕の償いの精いっぱいです。これから、どれほど生活の水準とか、そういうことが下がったりとか、どうなるのかは計り知れませんが…ただ、こういった場所で、こうやって皆さんに注目していただけるようなことは、もしかしたら今日が最後なのかなと思っています。実直に生きていこうと思っています。

 TMネットワークから始まって、今年で35年になりますが、本当に関係者の方、メディアの皆様がいられなかったら、世の中に僕の音楽が広がるわけもなく…本当に皆様のおかげだと思っています。本当にありがとうございました。心から感謝しています。

 小室は今後の生活への不安もにじませた。【村上幸将】