テレ東「バイプレイヤーズ」は名優の豪華フルコース

テレビ東京「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」会見で、田口トモロヲのパネルを囲み撮影に応じる、左から遠藤憲一、大杉漣、松重豊、光石研(撮影・村上幸将)

 日本を代表する名脇役に数えられる、遠藤憲一(56)、大杉漣(66)、田口トモロヲ(60)、松重豊(55)、光石研(56)が本人役を演じるテレビ東京系ドラマ「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」(水曜午後9時54分、全5回)が7日、同局でスタートする。

 今作は、17年1月期に金曜深夜枠で放送された前作「-~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」の続編だ。前作は口コミやインターネット上で面白いと評判になり、芸能界、業界関係者の間でも評価が高く、水曜プライムタイムに昇格しての1時間ドラマとなった。

 前作は、5人に寺島進(54)を加えた6人が、海外の動画サイトから大型ドラマの出演オファーを受け、シェアハウスで同居生活を送る物語だった。スケジュールの都合で寺島を除く5人の出演となった今回は、ドラマのロケ地へ大杉のクルーザーで向かったものの、誤って無人島に漂流しサバイバル生活を強いられる。第1話の試写を見たが、5人が突っ込み合い、いじり、いじられる掛け合いが、とにかく面白い。俳優、制作陣全員が心から楽しんで作っていることが、画面からにじみ出ていた。

 遠藤が5日に都内の同局で開かれた会見で、見どころについて語るのを聞いて、面白さの秘訣(ひけつ)を垣間見た思いだった。

 遠藤 アドリブでやっている場面がいっぱい、あると思われている。アドリブも、もちろん、いっぱい入っているんですけど、普段やっている役作りみたいのを全くやっていない。勝手に自分でせりふを作り上げたりすると、うまくいかない。全員そろって毎シーン1回、練習する。これほど練習やる作品、めったにないんで。実は練習した上でアドリブがふくらんだりしているので見てもらいたい。一生懸命やっています。

 遠藤の言葉を受け、大杉は「とは言え、ほとんど最初に合わせた段階で1回、テストをやって、いきなり本番という形が、すごく多い。スケジュールがタイトな形でやらせてもらっている」と撮影の裏側を明かした。日本で屈指のバイプレーヤー5人が主演を張るだけに、再集結にあたり、スケジュールの調整、撮影日程のひねり出しが、至難の業だったことが伺える。

 テレビ東京の濱谷晃一プロデューサーも「ものすごいタイトなスケジュールで、基本的に成立するかしないかギリギリのところで、皆さんの熱意で第2弾を迎えた。第2話も撮り残され、第3話以降も、まだまだ撮れていない。誰かがインフルエンザにかかったら第3話をお休みになっているかも知れない、綱渡りで作っている」と明かした。

 さらに今回、驚かされたのが、5人が共演するテレビ東京の朝の連続テレビ小説として描かれる劇中劇「しまっこさん」の豪華さだ。主演は本田望結で、主人公の母役に吉田羊、島のイケメン教師役に岡田将生。さらにTBS系日曜劇場「陸王」に主演した役所広司が、とんでもない役どころで出演するのも見逃せない。「宝くじ」のCMで演じた現代にタイムスリップした侍に、負けず劣らずのインパクトのある役どころを演じる役所に注目だ。加えて小日向文世、甲本雅裕、菅田俊、森下能幸、野間口徹と、この顔触れだけで普通に連ドラの企画が1本、成立しそうだ。

 物語も、過疎化が進む南の島にやってきた少女・花崎志麻子(本田)が、土地の守り神の精霊“しまっこ”たちと出会い、島民の優しさに触れ、島を守るため、廃校寸前の学校を存続すべく教師になっていく…と、しっかり作られており、番組の公式サイトやポスターまで作られている。光石研(56)が「劇中劇で使うのは、もったいないくらいのキャスト…スピンオフ、狙ってるんじゃないですか? 見てみたい」と期待するのも納得だ。

 ドラマでは、サバイバル生活をしながらも撮影を気にして台本読みをする5人の姿と並行し、失踪した5人を待ちつつも代役を検討したり、スタッフが5人の代わりにセリフを読んで撮影を続ける現場の様子も描かれる。視聴者が見られない撮影現場の様子、舞台裏が見られるのも興味深い。

 第1弾に続き出演する役所、岡田をはじめ、ゲストも「バイプレイヤーズ」に喜んで出演しているという。吉田は「念願の出演依頼。思わず小躍りしました」との言葉どおり、NHK朝の連続テレビ小説にテレ東朝ドラが挑む“朝ドラ戦争”という体で描かれた劇中で「NHKに勝ちましょう!!」というせりふをノリノリで口にしているほどだ。

 松重豊(55)は「『しまっこさん』のゲストは、明かさないという設定…僕らは人の名前、すぐに出てこない。スマホで検索しないと共演した人を思い出せない」とボヤくが、既に寺島しのぶの出演が決まっている。遠藤も「テレ東作品は、まず『お金がない。ギャラも安いですよ』と言われる。それが2話からも、ウソだろという人が出て、3話は、もっとすごくなる。テレ東、本当に金ないの?」と、さらなる大物ゲストの出演を“予告”した。

 ドラマ好き、映画好き…そして、演じる俳優が好きな人は「バイプレイヤーズ」必見だ。【村上幸将】