大杉漣さん急死 前日ドラマ撮影後に宿泊先で異変

大杉漣さん(17年10月7日撮影)

 俳優大杉漣さんが、21日午前3時53分、急性心不全のため亡くなった。66歳。幅広い役柄を演じる演技派として知られ「HANA-BI」など北野武監督(71)作品をはじめ、数々のドラマや映画に出演した。現在放送中のテレビ東京系「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」(水曜午後9時54分)に出演中で、前日20日まで撮影していた。葬儀・告別式は本人、家族の意向により親族のみで執り行い、後日お別れの会が開かれる予定。

 名バイプレーヤーが、突然逝った。公式サイトで、所属事務所社長でもある妻の名で「これまでお世話になりました共演者、スタッフならびに関係者、応援してくださったファンの皆様におかれましては、生前のご厚誼を深謝いたしますとともに、謹んでお知らせ申し上げます」とした。

 現在出演中のドラマ「バイプレイヤーズ」を放送するテレビ東京によると、大杉さんは前日20日午後9時ごろまで、他の出演者とともに千葉・富津市内などで同ドラマの撮影に参加した後、宿泊先に戻った。ロケの際、共演者らとはお酒も交えて食事をするのが恒例となっているといい、この日も食事をしたあとに自室に戻ってから、腹痛を訴えたという。関係者によると、共演の松重豊(55)が異変に気付いたというが、大杉さんの意識もしっかりとしていたためタクシーで病院に搬送。しかし3~4時間後、共演者と妻にみとられながら、そのまま帰らぬ人となったという。

 同ドラマの撮影は、最終話の途中まで行っていた。第3話は訃報が発表された直後の21日夜、通常通り放送され、番組最後に「心よりご冥福をお祈りいたします」と字幕で表示された。

 明大中退後の73年に舞台デビュー。80年に「緊縛いけにえ」で映画デビューし、ロマンポルノ作品にも多数出演し、名脇役となる基礎を作り上げた。93年に北野武監督「ソナチネ」のオーディションに合格し暴力団幹部役を熱演。“いぶし銀”の存在感を発揮し「HANA-BI」をはじめ、同監督作品には欠かせない存在に。数々の連続ドラマや大作映画に出演したが「枠や垣根はつくらない」と、製作費の少ない自主製作作品にも数多く出演。出演数の多さから「300の顔を持つ男」と呼ばれた。

 明るく朗らかなキャラで近年はバラエティー番組でも人気に。日本テレビ系「ぐるぐるナインティナイン」の人気コーナー「ゴチになります!」に昨年からレギュラー出演中。同9月には、設定金額を的中させる「ピタリ賞」を番組史上初めて2週連続で達成するなどマルチに活躍した。

 趣味も多彩でバンドなど音楽活動をはじめ、徳島・城北高時代はサッカー部に所属し全国大会に出場するなど大のサッカー好き。J2徳島ヴォルティスの熱狂的サポーターとして、サッカーファンからも人気で、誰からも愛された。