とことん自然体だったエド・シーラン、音楽性と共通

 昨年、世界で最も売れた歌手、英国のシンガー・ソングライター、エド・シーラン(27)をインタビューする機会に恵まれた。

 取材は、日本ツアー初日の開演約1時間半前に行った。こちらが簡単に自己紹介すると、イスから立ち上がって「エドです。よろしくお願いします」とあいさつされた。海外の歌手や俳優の取材経験はあるが、自分の名前を名乗って丁寧にあいさつされたのは、初めてのこと。人気と実績に加え、若いこともあり、大物らしい振る舞いや、少々のやんちゃぶりも覚悟していたが、謙虚なあいさつに正直、驚いた。偉ぶるところがないジェントルマンと感じた。

 取材が決まった時「エドだけに、日本に江戸時代があったことを知っているか聞いてみたら」と、上司から冗談交じりに勧められた。果たして大物にそのユーモアが通じるのか。取材の最初に恐る恐る聞いてみた。「日本にあなたと同じ名前のエド(江戸)時代があったことをご存じでしょうか」。通訳が英語で質問している間、本当に聞いてしまったけど怒ったりしないだろうか、ドキドキした。

 少しスベリ気味の質問にも「はい」と即答後、「知っています。以前、江戸ミュージアム(江戸東京博物館)に行ったことがありますよ」。怒るどころか、ほほえみながら穏やかな口調で答えた。取材はなごやかな空気で始まった。

 時間は10分間の約束だった。スタッフに「終了」と合図を送られたが、「あと2問だけお願いします!」と食い下がった。男性スタッフは「ダメだ」と首を横に振ったが、シーランは「全然いいですよ」と笑顔で言い、取材は続行した。「食べることに興味がある」と言っていたので、音楽にはまったく関係ないが「太る心配はないのか」と聞いてみた。余計なお世話に近いが、「とにかく、ビールが好き。ビールを止めたらやせると思うんけど、昨日も甲子園球場に行って、いっぱいビールを飲んじゃった」と、ユーモアたっぷりに答えてくれた。

 白い長袖Tシャツにデニムという服装だった。大スターなのに、私服もシンプルで、質素に感じた。

 1時間半後、ステージに現れた姿を見て、驚いた。私服と思い込んでいた服装が、実はステージ衣装だった。どこまでも自然体で気取りがない。生み出す音楽と共通しているように感じた。多くの人に支持される理由が少し分かった気がした。