大泉洋感慨「あにいもうと」で因縁渥美清さんと同役

ドラマ「あにいもうと」のPR会見を行った宮崎あおい(左)と大泉洋(撮影・中島郁夫)

 TBS系で1972年(昭47)に放送されたドラマ「あにいもうと」が当時、作品を手がけた石井ふく子プロデューサー(91)と脚本を担当する映画監督の山田洋次氏(86)の30年ぶりのタッグで制作され、大泉洋(45)と宮崎あおい(32)が兄妹役で初共演することが7日、都内の同局で行われた会見で発表された。6月25日午後8時から放送される。

 「あにいもうと」は、室生犀星氏が1934年に発表した小説が原作。東京の下町で工務店を営む赤座家を舞台に、大工職人の伊之助と、伊之助がいきすぎた愛情を注ぐ大型トラック運転手の妹桃子の兄妹を描く。72年バージョンは伊之助役が渥美清さん、桃子役が倍賞千恵子と山田氏が生んだ日本を代表する映画シリーズ「男はつらいよ」でも兄妹役の2人が演じた。

 大泉はモノマネが得意なことで知られるが、幼少期から「男はつらいよ」が大好きで、4~5歳の頃に人生で初めてモノマネをやったのが、渥美さんが演じた車寅次郎だったという。「『そうだろ、さくら』、『おいちゃん、それ言っちゃおしまいだよ』って言ったら、親が爆笑するからやめられない変な子どもでした」と熱く語った。山田氏が隣で大笑いすると「僕にこんなお仕事が来るのか。伊之助のセリフが寅さんが言っているようにしか思えない」と感慨深げに語った。

 山田氏は大泉の言葉を受けて「この小説が好きで、何度も読んだんです。妹への過剰な愛情が、寅さんのさくらへの愛情に移行した…寅さんの原形にあると言ってもいいわけです」と語った。その上で「渥美さんと倍賞さんでやった『あにいもうと』への不満があり、膨らまして結論を着ける脚本を書きたいと思った」と動機を語った。

 具体的な変更点を聞かれると、まず前作について「(伊之助は)妹を愛するあまりに殴る、すさまじいケンカの一晩がメインになっている小説で、そこを中心に作った」と説明。その上で「異性への愛を妹の愛に重ねるから、妹はとてつもない負担にいらだつ。彼の成長…好きな人と結婚して家庭を持てば解消されるんだろうし、妹も新たな人生を歩み出すという結論をつけたい思いがあり、再びドラマにするなら、ちゃんと作ろうと思っていた。割にうまくいったと思います」と手応えを口にした。

 大泉は、山田氏が手がけた作品への出演オファーがきた際「監督を前に言うのも怖いんですけど、現場が『怖い』と聞きまして…断るという話はないわけです。間違いなくやるんですけど臆病者なので怖い。(山田監督は)脚本ですけど、現場にいらっしゃるのか分からない。現場に来なければ良いくらいに思いましたけど…結果、いらっしゃった。とんでもない緊張…汗だくです」と吐露。「顔合わせの時も『こいつじゃない。大泉君、君だっけ?』って言われたらどうしようと思った」とジョークを飛ばしつつ振り返った。

 その上で「こんなに充実した本読みはない。『こうじゃない、こうだ』と、その場で演出していただき幸せな気持ち」と感激の思いを口にした。