乙武氏が仮面女子猪狩、浜田祐太郎らの活躍を期待

乙武洋匡氏

 作家の乙武洋匡氏(42)が、脊髄損傷の大けがを負い、両下肢麻痺のため歩くことや脚を動かすことができない状態だと明かした仮面女子の猪狩ともか(26)にエールを送るとともに、障害者に対する世間の意識や制度の改善の必要性を訴えた。

 乙武氏は8日、「障害者だってアイドルをあきらめなくていい」のタイトルでブログを更新。車椅子で芸能活動を続ける意欲を見せている猪狩について、「人生の途中で歩けなくなるという苦難は、生まれつき障害者だった私にさえ想像できないほどの悲しみや悔しさ、もどかしさがあると思うけれど、猪狩さんには、ぜひアイドルの世界に新たな地平を開いていただければと、勝手ながらエールを送らせていただくことにする」とつづった。

 先天性四肢切断という障害があり、車椅子生活を送っている乙武氏は、「車椅子に乗って20年近く表舞台に立ってきた人間からすると、困難がないとは言わないが、猪狩さんはアイドルであることをあきらめる必要はまったくないだろうとも思っている」というが、その一方で「世の中には障害者になったことで何かをあきらめなければならなくなる人がゴマンといる」「それまでの仕事を失ったり、それまでの住居に暮らすことが困難になったり、それまでの人間関係を維持することができなくなったり-。とにかく、障害者になると多くの『それまで』を手放すこととなってしまう」という現実もつづった。

 乙武氏は「みなさんにも考えてほしい。そんな社会のままでいいのだろうか。くじ引きの中に『障害者』というハズレくじが存在し、それを引いてしまったら、『残念だけど、これまでの日常も夢も希望もすべてあきらめてください』と残酷な宣告を受ける社会でいいのだろうか」と問い掛ける。個人の努力や周囲のサポートによって以前までの生活をある程度までならば取り戻すことはできるというが、「それは周囲の想像を絶するほどの努力であり、鋼のメンタルを必要とする。すべての障害者にそれを求めるのは、あまりに酷と言える」と容易ではない実情を明かした。

 「障害者が、健常者とまったく同じように暮らせるようになるとは思っていない。だが、その間に存在する『できること』の差がなるべく小さい社会のほうが、私は豊かで美しいと感じている」と乙武氏。建造物の制度や人々の意識を変えていくことで改善できるとしたが、そうした訴えに対し、「障害者特権を振りかざしている」と非難を浴びるのが現状だという。

 乙武氏は「特権とは、文字どおり『特定の人々に与えられる、他に優越した権利』のことだ。ふざけるな。何が特権だ。『できないこと』『あきらめなければならないこと』『唇を噛んで我慢しなければならないこと』を抱える人々が多くいる」とあらためて訴え、「R-1グランプリで優勝した濱田祐太郎さん。車椅子になっても活動を継続すると宣言してくださった猪狩ともかさん。こうした若くて才能に溢れた方々の活躍をみんなで祝福する一方で、誰もが自分の特性を生かして活躍できる社会を実現していきたいと思う。スキャンダルですっかり商品価値を失った私にできることには限りがあるが、しかし、それでもあきらめずに、いま自分ができる範囲のことを愚直にやっていきたいと思う」と意気込みをつづった。