小田和正古希ツアータイトルが「アンコール」の理由

全国アリーナツアーの初日公演で歌う小田和正

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

 シンガー・ソングライター小田和正(70)が4日、熊本・益城町のグランメッセ熊本で全国アリーナツアーを開幕させた。約1年半ぶりのツアーでは、全国21カ所で48公演を行う。

 前回の全国ツアーの千秋楽・沖縄公演も取材した。MCでは「またこうしてツアーに出られる日を心から待っています」とファンに約束していた。終了後にあいさつした際、失礼ながら年下の記者から「70歳でも期待しています」と声を掛けさせてもらった。さすがに何とも言えない表情だったが、公演を見る限り、まだまだいけるだろうと感じさせるものだった。

 今回のツアーを実施するにあたっては、もう少し前回から期間を空けて実施するプランもあったというが、昨年10月ごろ、小田が「もっと早くやろう。休んでいる場合じゃない」と思い立ったところからスタートした。

 約半年間をかけて行うツアーは、ほぼ毎週末はどこかで公演を行うハードスケジュール。さらに小田の場合、毎回「ファンの皆さんが聞きたい曲は何だろう?」とセットリストも突き詰めて、結果1公演あたり30曲ほどを約3時間かけて披露する。ソロアーティストとしては、異例ともいえる長さだ。今回も、スタッフからは規模を小さくする案も出たというが「同じ規模でやらなければ意味がない」と譲らなかった。

 そんな今回のコンサートのタイトルは「ENCORE!!」(アンコール)。小田のこだわりで決まったという。周囲の話を総合すると「毎日がアンコールというか、アンコールしてもらえるように1日1日を一生懸命に生きていきたい。また会いたい、アンコールしたいという気持ちになってもらえたらうれしい」という思いが込められているという。

 小田はMCで「もう70歳になって、(前回のツアー時の)68歳とは違う。うかつに次の約束はできませんが、とにかくみんな元気で頑張りましょう」と話した。「キラキラ」でステージを降りて客席を回りながら、涙する場面もあった。「いや、みんなの顔がキラキラしていてね。泣くつもりはなかったんだけど」。終演後、そう明かした小田の表情は、次の「アンコール」に向けてまた意欲を新しくしているように見えた。