星由里子さん、今年春に肺がん判明も映画2本撮影

65年、水上スキーに挑戦し、水着姿で笑顔を見せる星由里子さん

 映画「若大将」シリーズのヒロイン役などで知られる女優の星由里子(ほし・ゆりこ)さん(本名・清水由里子=しみず・ゆりこ)が16日午後11時5分、心房細動と肺がんのため、京都市内の病院で亡くなった。74歳だった。葬儀・告別式は親族のみで行い、後日、お別れの会を開く。今年に入って肺がんと分かったが、入院はせず、3月まで新作映画の撮影に参加するなど、最後まで女優を通した。

 星さんは昨年秋に、心臓が速く拍動する「心房細動」と分かった。治療を受けていたが、今年に入って肺がんが見つかった。治療をしながら3月まで新作映画2本の撮影に参加した。

 関係者によると、「がんという病気を抱えながら、それを感じさせない、見事な演技をしていました」という。3月下旬には所属事務所「東宝芸能」の懇親会に出席し、司葉子らと旧交を温めた。

 その後も入院せず、京都市内の自宅で療養していたが、5月上旬に体調が悪化して入院。16日に容体が急変し、親族にみとられて亡くなった。新作2本のタイトル、内容は未発表だが、星さんの遺作となる。

 1958年に東宝が募集した「ミス・シンデレラ娘」に選ばれて芸能界入りし、当時のキャッチフレーズは「八重歯のシンデレラ」。61年にスタートした加山雄三(81)主演の映画「若大将」シリーズのヒロイン澄子役に起用され、68年までに11作品に出演。清爽な美しさで人気を確立した。

 その後も「モスラ対ゴジラ」の怪獣映画に出演し、68年「忘れるものか」で石原裕次郎さん、69年「日本侠客伝 花と龍」で高倉健さんと共演するなど、幅広い役柄を演じた。

 90年代に入ると、活躍の場をテレビや舞台に広げ、97年のNHK連続テレビ小説「あぐり」やドラマ「科捜研の女」などに出演。舞台は北島三郎公演の常連だった。

 私生活では、69年に実業家横井英樹さんの長男と結婚したが、80日あまりで離婚。75年に人気脚本家花登筐さんと再婚したが、83年に死別。90年に会社役員と再々婚していた。

 ◆星由里子(ほし・ゆりこ)1943年(昭18)12月5日、東京生まれ。59年に映画「すずかけの散歩道」で女優デビュー。89年から日本テレビ系「2時のワイドショー」の司会を務めた。映画「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞、舞台「佐渡島他吉の生涯」で菊田一夫演劇賞を受賞した。