西城さん最期のアンコール、1万人Y.M.C.A.

出棺で西城秀樹さんの棺を持つ野口五郎(中央)(撮影・鈴木みどり)

 今月16日に急性心不全で亡くなった歌手西城秀樹(さいじょう・ひでき)さん(本名・木本龍雄=きもと・たつお、享年63)の葬儀・告別式が26日、東京・青山葬儀所で営まれた。最後のお別れに、1万人を超えるファンや関係者が参列した。「新ご三家」の野口五郎(62)と郷ひろみ(62)はそれぞれ弔辞を読み“最後の共演”を果たした。「ヒデキ、ありがとう!」の大歓声の中、スターがまた1人、旅立った。

 出棺前、本当に最後の別れの時がやってきた。1万人を超えるファンから「アンコール」の声が上がる。代表曲「青春に賭けよう」のメロディーに合わせて合唱が起こると、ヒデキの声が響いた。

 「イエーイ!! 分かってるよなー!?」

 ワイルドなあおりに、ファンが「イエーイ!!」と応えると、「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」が流れた。1979年に後楽園球場で行われたコンサートの音源だ。アップテンポな同曲に合わせて、ファンは涙ながらに「Y」「M」「C」「A」とおなじみのポーズを作った。

 この日が、新ご三家にとって“最後の共演”にもなった。長男の野口は、何度も涙をぬぐいながら弔辞を読み上げた。秀樹さんが、他人に曲を作らない野口に制作を頼んできたこと。お互い同時期に娘が生まれることが分かった時のこと。15年の秀樹さんの還暦パーティーで抱きしめたこと…。エピソードを振り返り「ヒデキ、お疲れさま。そしてありがとう。もう、頑張らなくていいから。君のかわいい子ども、家族をいつまでも見守り、お前の思うラブソングを天国で極めてくれ」と呼びかけた。

 続いたのは三男の郷。今日27日に全国ツアー初日公演を控えており、スケジュールを調整して駆けつけ、遺影をまっすぐ見詰めながら弔辞を読んだ。「これが僕からヒデキに送る、最初で最後の手紙。2人は同じ世代を駆け抜けていく同志という思いだった。これからもヒデキの背中を見て、ずっと歌い続けていきたいと思います」。

 青色の棺(ひつぎ)には、家族写真や家族からの手紙、次男からプレゼントされた帽子、大好きだったゴルフのグローブや赤い衣装が納められた。妻の美紀さんは「倒れた先月25日まで、50周年を目指していた。どうか秀樹さんのことを忘れないでいてください」。最後は「ブルースカイ・ブルー」が流れ、「ヒデキ、ありがとう!」の大歓声が降り注ぐ中、青空に旅立った。【大友陽平】

 ▼弔問客 ファン、関係者あわせて1万人超。最大3・5キロの行列ができた。

 ▼一番乗り 大阪府から妻と2人で訪れた川野洋さん(56)。宿泊先の赤坂のホテルからタクシーを飛ばし、午前3時半から並んだ。

 ▼トイレ 最寄り駅の東京メトロ乃木坂駅構内にある女性用トイレは、喪服を着た女性たちによる長蛇の列ができた。

 ▼交通規制 参列者で歩道全体が埋まらないように、警察は青山葬儀所前の道路を1車線規制した。人の列は、青山葬儀所に隣接する青山斎場の中にまで及んだ。

 ▼近隣への影響 出棺を一目見ようと、葬儀所の向かいにあるファミリーレストラン「デニーズ」の外階段は、会場に入れなかったファンであふれた。

 ▼混乱 献花が並び順通り進まず、後ろに並んでいた人に先を越されたと主張するファンが現れた。

 ▼主な参列者 小川知子、フジテレビ笠井信輔アナ、川崎麻世、菊池桃子、郷ひろみ、コロッケ、ダイアモンド☆ユカイ、高木ブー、徳光和夫(司会)、野口五郎・三井ゆり夫妻、松村邦洋、モト冬樹、薬丸裕英・石川秀美夫妻、湯川れい子、由紀さおり、渡辺真知子(順不同、敬称略)