元代表戸塚哲也氏の息子がNHKのW杯曲秘話明かす

インタビューで笑顔を見せるSuchmosのギターTAIKING(左)とボーカルYONCE

 人気6人組ロックバンド、Suchmos(サチモス)が、14日に開幕したサッカー、ワールドカップ・ロシア大会を音楽で盛り上げる。同バンドは18年NHKサッカーテーマ曲「VOLT-AGE(ボルテージ)」(先行配信中)を手掛けた。ボーカルYONCE(26)と、父親が元サッカー日本代表の戸塚哲也さん(57)のギタリストTAIKING(28)が取材に応じ、楽曲制作の裏側などを明かした。

 「VOLT-AGE」の作詞を手掛けたYONCEは、英プレミアリーグのリバプールのファンだ。「サッカーが大好きですけど、変に意識しないように」としながら、サッカーでも音楽でも使用される「ピッチ」という言葉を盛り込んだ。「サッカーは11人で、オレたちは6人でバンドをやっていますが、チームワークという部分では、すごく相通ずるものを感じて。1つの詞の中に(両者が)同居できれば、というのが今回のテーマでした」。

 YONCEは日本代表の中で、岡崎慎司(32)を応援し続けている。「国際舞台で活躍してきた選手だし、ここぞでの経験値や戦ってきたパワーが発揮されるのでは」と期待を寄せる。

 TAIKINGは元サッカー日本代表を父に持つが、幼稚園以降、サッカーとほぼ無縁だった。「僕はサッカーが分からなくて、ゲームを通じてこれがオフサイドなのね、と知るぐらい」。名古屋公演の際、今は岐阜県内でタンメン店を営む父親の元を訪れ、酒を酌み交わす。「父はやりたいことで人生を貫いてきたタイプの人間。そういう意味では似たなと思います」。

 哲也さんはNHKサッカーテーマ曲決定に「おめでとう」と祝福してくれたという。「(サッカーと)縁みたいなものがあるんですかね。父にも恩返しできたかなと思います」と、感慨深げな表情を見せた。

 Suchmosは新しさと懐かしさを同時に感じさせる洗練されたサウンドが特徴的。16年ホンダのCM曲「STAY TUNE」で幅広い年代の人々の心をつかみ、同社の株価を上げたといわれるほど、イメージアップに貢献した。

 メンバー全員がロックやジャズ、ヒップホップなど幅広く音楽に親しみ、特にビートルズやボブ・マーリーらに影響を受けた。スタッフが舌を巻くほど、洋楽全般に精通しているが、幼いころは家族の影響で、日本の人気歌手の曲を聴いていた。YONCEは松任谷由実(64)やMISIA(39)。TAIKINGは「SMAPが母の車でガンガン流れていて、ほとんど聴いたかな。人生で初めて行ったコンサートもSMAPでした」と明かした。

 目標にまず、音楽にまっすぐ向き合う姿勢を挙げる。TAIKINGは「もっとシンプルで格好いいものを作りたい」。YONCEは「オレたちの音楽に触れた人の背中を押すようなことができたら、と純粋に思います」。YONCEは楽曲で選手の背中を押すことに「一番幸せですよね」と、しみじみと言った。【近藤由美子】

 ◆Suchmos(サチモス) ボーカルのYONCE(26)ベースのHSU(28)ドラムのOK(27)DJのKCEE(25)キーボードのTAIHEI(25)ギターのTAIKING(28)からなる6人で構成。13年に神奈川県で結成し、15年デビュー。バンド名はルイ・アームストロングの愛称「サッチモ」に由来。「VOLT-AGE」を収録したミニアルバム「THE ASHTRAY」を今月20日に発売。