「半端ねぇ」トータルテンボス、大迫活躍で時の人に

トータルテンボス藤田憲右(左)と大村朋宏(2018年6月25日撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

 お笑いコンビ、トータルテンボスをインタビューした。ボケ大村朋宏(43)とツッコミの藤田憲右(42)。アフロヘアの藤田が、ネタの中で連発する「半端ねぇ」が注目された。サッカー日本代表FW大迫勇也(28)が、1次リーグのコロンビア戦で決勝ゴールを決めて「大迫、半端ないって」という言葉がはやったからだ。

 03年から使う藤田は「僕のオリジナルと言うより、当時の若い人が、みんな使っていた。漫才で使ったのは、僕が初めて」。ボケの大村朋宏(43)は「横断幕が出てるのは知ってたけど、大迫選手の口癖なのかと(笑い)。15年、ず~っと相方が言ってたのに流行らなかったんですから切ない。大迫のコロンビア戦の決勝ゴールで、海外にまで広まった」と振り返る。

 今年、結成21年目を迎える売れっ子。9月8日から20カ所21公演の全国漫才ツアー2018「いきなりミックスベジタブル」を行う。去年は半端な? 9000人動員。今年は半端ねぇ1万人を目指す。大村は「新ネタを6本、その合間に流す動画を5本作ります」と意気込む。

 吉本の売れっ子芸人。それでも、上には上がいる。干支(えと)で一回り上には、お笑い界に君臨するダウンタウンがいる。藤田は「お笑い界はダウンタウンさんのさらに上の世代の(ビート)たけしさん、(明石家)さんまさんが健在。まるでサッカー代表でラモス瑠偉がバリバリやってるみたいなもの。さんまさんなんか、今の若い人にスピードで負けていない」と言う。大村は「いや、釜本邦茂が点を取ったり、木村和司がフリーキックを決めているみたいなもの」と笑う。

 SUSHI☆BOYSの名前で、発信する「いたずら動画」は、TEMPURAこと大村が、FJIYAMAこと藤田に縦横無尽のいたずらを仕掛けて動画にアップ。MLBの大谷翔平、田中将大、イチローもファンだという。新しい時代にマッチする笑いを追求する。

 静岡の小学校の頃からの幼なじみの2人も、40代になった。結婚して、子供もできた。背負うものがある。

 藤田は「お笑い自体の面白さは、変わっていない。でも、環境が変わったんで、考え方はすごく変わりましたね。家族ができてからは、プライベートと仕事のメリハリを付けるようになった」。大村「もちろん家族は、養わなくちゃいけないですからね。でも、お笑いにおいては、家族はかせになる部分がある。その辺のバランスが難しくもある」と言う。

 藤田が結婚した当時に、していた結婚指輪を、大村が頼んで外してもらった。

 大村は「そこにキラリと光るものがあると『こいつも嫁、子供がいるからな』と」。藤田は「なんか冷めるところがある」。

 2人が発信する「いたずら動画」は、大村が藤田に突拍子もないいたずらを仕掛ける。いじめにも近い。大村は「こんないたずらしちゃったら、かわいそうだろうと。見てる人だって笑いにくくなる。だから、お互いに結婚指輪はしていません」。

 97年にコンビ結成。M-1の最高は07年の準優勝だ。当時のコンビ結成から10年という規定でラストチャンスだった。優勝したのは敗者復活から決勝に出場したサンドウィッチマン。敗者復活からの優勝は、史上初の快挙だった。

 藤田は「意識しているのは、やっぱりサンドウィッチマン。M-1で負けたし、その後の活躍もすごいなと思っている」。大村は「うれしい反面、刺激を受けますよね」と言う。

 デビューからの20年を振り返り、藤田は「まぁ、満足はしてないですよね。もっと冠番組を持って、地上波にバンバン出て、みたいな感じだと思ってましたけど」。大村は「途中で芸人の質も、テレビやメディアの流れも大きく変わった。ネットが出てきたのが大きい」。藤田は「そこら辺を考えてみると、悪い結果ではないと思うんですけどね。これが、もしネットとかの大きな変わりがなかったら、どうなっていたのかなという思いはありますね。もっとテレビに出ていたかもなとか」。

 人生100年時代。お笑い人生も、まだ半分も行っていない。トータルテンボスの「半端ねぇ」活躍は、これからだ。