勘九郎「父は喜ぶと」2大聖地で勘三郎に恩返し

父中村勘三郎さんの七回忌追善公演制作発表を行った中村勘九郎(右)と中村七之助(撮影:江口和貴)

 12年に亡くなった歌舞伎俳優中村勘三郎さん(享年57)の七回忌追善興行が、10月は東京・歌舞伎座、11月は浅草の平成中村座で行われることが26日、松竹から発表された。この日、都内で、長男中村勘九郎(36)次男中村七之助(35)が会見した。両劇場での2カ月連続追善興行は初めて。

 勘三郎さんが愛し、勘三郎さんを語る上で欠かせない2つの劇場での追善興行となる。

 歌舞伎座と勘三郎さんといえば、05年の勘三郎襲名披露興行だ。3カ月連続で行われ連日満員、観客動員は30万人を超えた。13年に開場した現在の歌舞伎座が工事中のころは、新しい歌舞伎座の舞台に立つことを目指して闘病していた。

 平成中村座への思いも強い。江戸時代の芝居小屋の雰囲気を味わってもらいたいと、勘三郎さんが中心になり、00年に浅草に仮設劇場を設営して始まった。大阪、名古屋、ニューヨークなど海外公演も行われた。

 会見で、勘九郎は「歌舞伎座は聖地です。平成中村座も聖地で、父の夢の小屋です。両劇場でできるのはうれしい。父は喜ぶと思います。あまりにも早く逝ってしまった父のことを思うと、悔しさと悲しさはありますが、いい興行にしたい」、七之助も「工事中の歌舞伎座を見て父は『宝箱だね』と言った。そこに立てないで逝ってしまった。兄と公演できるのはうれしいですし、もうひとつ愛した中村座でもできる。命がけで務めます」と話した。

 2人は常に「父なら?」と心に問いかけながらやってきたという。勘九郎は「僕たち兄弟は極度のファザコン。父に褒められたい、どういう言葉を掛けてくれるだろうと思ってやってきた」と明かす。父ならどうするかという気持ちと同時に、自分たちが舞台を引っ張るようになって感じることもあるとした。

 勘九郎は「自分たちも輝いて発信する存在にならなくてはいけない」と話し、七之助は「父を追いかけるだけじゃなく、父の立場になって考えるようになった。(興行発表の)今の時点で(父は)喜んでくれてると思うけど、だめだったら大怒りです」と気を引き締めた。

 歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」には松本白鸚、片岡仁左衛門、坂東玉三郎が、平成中村座「十一月大歌舞伎」には中村扇雀、中村芝翫も出演する。勘九郎は「僕たちのフィルターを通して、父の精神、魂を感じてほしい」と呼び掛けた。【小林千穂】