さくらももこさん乳がんで死去、30周年「幸せ」

ちびまる子ちゃん(C)M.S

フジテレビ系アニメ「ちびまる子ちゃん」(日曜午後6時)で知られる漫画家さくらももこさん(本名・非公表)が、15日午後8時29分、乳がんのため亡くなっていたことが27日、分かった。53歳だった。さくらさんの事務所「さくらプロダクション」がマスコミ各社にファクスで発表した。通夜、告別式は遺族の意向で親族、近親者で営まれたという。フジテレビはこの日、同アニメの放送は継続するとした。

国民的な人気アニメ「ちびまる子ちゃん」の原作者、さくらももこさんの突然の訃報に、大人から子供まで幅広い世代のファンに衝撃が走った。

さくらさんの事務所「さくらプロダクション」は27日夕、ファクスで「さくらももこが、2018年8月15日午後8時29分、乳がんのため永眠いたしました。(享年53)これまで温かい応援をしてくださったファンの皆さま、お世話になりました関係者の皆さまに深く感謝いたしますとともに、ここに謹んでご報告申し上げます」と報告した。通夜、告別式も遺族の意向で近親者で行ったという。

詳しい病状などは明らかにされていない。フジテレビは「ちびまる子ちゃん」の今後の放送について「変わらずに続けてまいります」とした。9月2日の放送内容は検討中だという。

さくらさんは84年に漫画家としてデビュー。雑誌「りぼん」で86年からスタートした「ちびまる子ちゃん」が人気となり、90年にアニメ化もされ、国民的人気を得た。自ら作詞を手がけ、B.B.クィーンズが歌ったアニメの主題歌「おどるポンポコリン」のCDは累計164万枚超の大ヒット。同曲は90年のレコード大賞に輝いた。91年には選抜高校野球の入場行進曲にもなった。集英社によると単行本など関連書籍の発行部数は累計3200万部。またエッセイストとしても活躍し、「もものかんづめ」など多数の名作がある。

同事務所のファクスには、84年に漫画家としてデビューし、30周年を迎えた際のさくらさんの言葉も紹介。「30年間、良い事も大変な事もいっぱいありましたが、私は作家としてとても幸せな月日を送らせていただいています。感謝にたえません」。さくらさんが、作品を描けて、それを楽しんでいただけることをいつも感謝していたとしている。

悲しみはサッカー界にも波及。さくらさんと同じ静岡県出身で、小学生時代の同級生だったFC東京の長谷川健太監督が球団公式ツイッターで「突然の訃報に驚いています。心よりご冥福をお祈り申し上げます」とコメントを発表した。アニメには長谷川監督をモデルにしたサッカー少年も登場している。

5月には、アニメでエンディング曲を歌った西城秀樹さんが亡くなった。劇中のまる子の姉さきこは、西城さんの大ファンだった。「ちびまる子ちゃん」で接点のあった2人が同じ年に天国へ旅立った。

◆さくらももこ(本名非公開)1965年(昭40)5月8日、静岡県生まれ。84年漫画家デビュー。86年少女漫画雑誌「りぼん」で自伝的代表作「ちびまる子ちゃん」を連載開始。テレビアニメは90年から現在まで放送中で、06年に実写ドラマ化された。作詞家としても活動し、アニメ主題歌「おどるポンポコリン」で第32回日本レコード大賞を受賞した。漫画はほかに「コジコジ」「神のちからっ子新聞」など。エッセイストとしても活躍した。

◆アニメ「ちびまる子ちゃん」 90年1月から92年9月にかけて第1期が放送され、95年1月から現在に至るまで第2期が放送中。フジテレビ系で日曜午後6時。ビデオリサーチによると、77年9月26日以降に放送されたアニメ番組の中で、歴代最高視聴率39・9%を記録している(90年10月28日放送分)。タイトルは「まるちゃん実験をするの巻」。