ATSUSHIは涙、SHOKICHI「尽くす」

インタビューではじめてのツーショット撮影に臨んだATSUSHI(左)とSHOKICHI。お互いに恥ずかしそうにしながらも、クールに決まった1枚となりました(撮影・小沢裕)

<3年ぶりの全国ツアー EXILE語る>

3年ぶりの全国ドームツアーを控えたEXILEメンバーの思いに迫る「日曜日のヒーロー」スペシャル版。第2回はボーカルのEXILE ATSUSHI(38)とSHOKICHI(32)の登場だ。活動休止のきっかけとなった海外留学で自分を見つめ直したATSUSHIと、EXILE THE SECONDとして音楽に集中してきたSHOKICHI。再び動きだしたグループで、早くも化学反応が起こっていた。

★日本の心

2人の対談はほぼ初めてという。「1日生まれ変われるならATSUSHIさんの歌声で歌ってみたい」と語るSHOKICHIは、対談中も恐縮した面持ち。それを優しい視線で見守るATSUSHIの姿が印象的だ。

SHOKICHI ATSUSHIさんは、今も昔も僕にとって一番尊敬しているシンガー。もっと歌がうまくなりたいという少年の時のような思いをずっと貫き通しているところはすごいですし、歌声もブラックミュージックから、日本の昔ながらの歌まで繊細に伝えられる側面があって、こんなに立体的なシンガーは、日本で唯一無二だと思います。ライブでもリハーサルでも、横で「本当にいいなあ」って思ってます。

ATSUSHI 賄賂、渡してないですよ(笑い)。SHOKICHIは普段からこんな感じで、冷静で礼儀正しい。この2年半の間に、SECONDとしてもソロとしても彼の努力や活躍があった。SECONDが頑張ってくれてEXILEの思いをつないでくれたことで「復活の兆し」が見えたと思うし、精力的な働きに感心していました。

時計の針を2年半前に戻す。15年末にパフォーマーの松本利夫、USA、MAKIDAIの3人が卒業。EXILEも新たな転換期を迎えていた。

ATSUSHI HIROさん、そして3人が卒業して、EXILEをどう受け入れて、消化するべきか。自分たちでも見えていませんでした。

ATSUSHI自身も、デビューから常に走り続けてきた。「あのままでは何かが崩れてしまいそうだった」。16年8月31日、世界基準の表現力、歌唱力を身につけたいと、海外留学を発表。ニューヨークやロサンゼルスなど米国内で、自分を一から見つめ直した。

ATSUSHI スタジオに入ったり、歌詞を書いたりすることももちろんありましたけど、基本的にはトレーニングの日々でした。トレーニングも、ただやるだけではなくて、休息と栄養がなければ効果も出ない…。そんなことも、時間があるから理解できました。また、自分で家事をしていると、日本みたいに24時間の文化ではないので、夕食に何を食べようか考えながらトレーニングして、お店が閉まる前に買い物に行くと1日が終わってしまう。意外に忙しくて。よく寝ましたし、人間らしい生活を送ってました。

体作りだけでなく、海外の文化に触れることで、精神的にも得るものは大きかったという。

ATSUSHI 日本だと「緊張=ナーバス」という感じがありますけど、海外だと「緊張=エキサイティング」という感じで、緊張ってワクワクすることなんだって肌で感じられたのは大きかったです。文化的な違いに直面することもありましたけど、こうして日本に帰ってきた時に、ファンの皆さんが待っていてくれて、またドームでできるというありがたみをより一層感じましたし、僕は日本で育って、日本の文化で日本人の心を歌っているんだなと実感しました。

★化学反応

一方SHOKICHIは、SECONDとして全国40公演以上を回るツアーを2度するなど、ライブざんまいの日々を送っていた。

SHOKICHI ライブをしてアルバムを作って…というのを繰り返して、音楽的に充実していました。SECONDは自分たちでプロデュースも任せてもらえたので、レベルアップできたと思いますし、かけがえのない時間だったので、自分の音楽人生にもなくてはならないものになりましたし、まさに充電期間で、それを務められたかなと思います。

今年5月24日、SECONDの全国ツアー最終公演でEXILEがステージに復活。ATSUSHIは涙ぐみながらメンバーに感謝を伝えた。

ATSUSHI 泣けてきました。メンバー全員の思い、そして特にAKIRAの思いを感じていました。賛否がある中でSECONDに加入して、苦しんでいる姿を見たりとか、他のメンバーが受け入れて頑張っている姿を見ていた。僕が知っている以上の大変さもあったと思うし、それを乗り越えて「40公演、やりきったなこいつら。すげえな!」と。感動しました。

SHOKICHI 僕らは「for EXILE」と、EXILEにつないでいくテーマがありました。思い描いていたビジョンが具現化できて、思いをみんなで感じられたことはチーム力を上げる1つの出来事になりましたし、「次はEXILEだ!」というバイブスも上がりました。

メンバーそれぞれがソロ活動や兼任するグループで磨きをかけ、成長してきた。ツアーのリハーサルに臨む中、早くも化学反応が起こっているという。

ATSUSHI 結成当初は僕も一番下の世代でしたけど、今は一番上。同じEXILEなんですけど「この人がこういう方向なら、自分はこの方向」と、それぞれがEXILEの中で役割を感じてやっていく形は、全く新しいグループを作っている感覚で、すごく新鮮です。

SHOKICHI 野球でいえば、自分はサードとか、センターとか、それぞれポジションがある感じがします。すごい風通しもいいので、リハーサルも早い。この3年で自分の強み、弱みを把握して活動してきたので、前は際どいフライが上がったら、3人くらいが捕りに行ってたのが、今は「そっちはNAOTO君!」とか「SHOKICHI頼むわ」と言われても「オーライ!」という感じになってます。

ATSUSHI 13年にHIROさんが勇退される時の「HIROがEXILEを卒業するんじゃなくて、EXILEがHIROを卒業する」という言葉を、今になって実感しています。当時おっしゃっていた意味が、5年たって、しっくり理解できるようになりました。

ライブもいよいよ目前に迫ってきた。

ATSUSHI 僕らはもちろん、ファンの皆さんもワクワクしてもらえるという中で、アルバム「STAR OF WISH」を作りました。HIROさんと年初に今年のテーマを話した時に、TRIBE(一族)の中で“オールスター軍団”になっていかないといけないと。星のようにロマンを感じられるような存在になれるようにとこのタイトルになったんですけど、会場でもEXILEを見て「帰ってきたね」とか「幸せだな」とか、ロマンを感じてもらいたいです。

SHOKICHI いろいろな側面があるEXILEを見せられると思います。チームに尽くすことが、自分の将来の夢をかなえる秘訣(ひけつ)だと思っているので、EXILEに費やしていきたいです。

ATSUSHI ツアーを大好評、大成功で終わらせることで、次の目標や展開が見えると思います。最高の状況で乗り切ることを考えています。

★マイブーム

ATSUSHIのマイブームは、お香だという。「ちょっと時間があると『たこう!』って。和風なやつです」。ボーカルチームにプレゼントしたといい、SHOKICHIは「本当にいいです!」。そんなSHOKICHIは「燻製(くんせい)」にハマりたいという。「先日、燻製した卵がのったポテトサラダがめちゃくちゃうまくて…。作る機械も調べてます」。ATSUSHIは「燻製だけでは飽きるよ~。でもぜひ食べさせて」と笑顔だった。

◆ATSUSHI(あつし)本名・佐藤篤志。1980年(昭55)4月30日、埼玉県生まれ。4歳からピアノを始め、高校時代にバンド活動も。テレビ東京「ASAYAN」オーディション最終予選で落選もHIROに見いだされ、01年にEXILEのボーカルとしてデビュー。11年に「いつかきっと…」でソロデビュー、14年、第56回日本レコード大賞で「最優秀歌唱賞」。16年に初のソロドームツアーを開催し、バンド「RED DIAMOND DOGS」結成。身長175センチ。血液型A。

◆SHOKICHI(しょうきち)本名・八木将吉。1985年(昭60)10月3日、北海道苫小牧市生まれ。「ボーカルバトルオーディション」敗退も、07年1月、二代目J Soul Brothersに加入。09年3月にEXILE加入。12年から、EXILE THE SECONDとしても活動。14年6月、ソロデビューし作詞作曲も。今年からレーベル機能を持つプロジェクト「KOMA DOGG」が始動。実弟は劇団EXILE八木将康(31)。身長183センチ。血液型A。