フネ役交代後も放送楽しみに/麻生美代子さん素顔

アニメ「サザエさん」の磯野フネ

フジテレビ系アニメ「サザエさん」(日曜午後6時30分)の磯野フネ役やテレビ東京系「和風総本家」(木曜午後9時)のナレーションで知られた、女優で声優の麻生美代子さん(本名・左近允美代=さこんじ・みよ)が8月25日午前7時23分、都内の自宅で老衰のため死去していたことが3日、分かった。所属事務所が発表した。92歳だった。東京都出身。通夜、葬儀は近親者で既に済ませ、後日お別れの会を開く予定。

所属の俳協(東京俳優生活協同組合)によると、麻生さんはにぎやかなことが好きで、明るくチャーミング。姉御肌だった。気持ちが若く、若い人と付き合うことも好んだ。舞台で共演した若手俳優らを自宅に招き、手料理や酒を振る舞い、にぎやかな時を過ごすこともあった。後輩の著名な声優から相談されることもあり、アドバイスしていたという。仕事に入ると、スイッチが入り、目の色が変わった。だが、46年間務めた「サザエさん」の磯野フネ役は自然に、気負うことなく、務めていたという。

趣味はスキューバダイビングで47歳から80歳まで続けた。体を動かすことが好きだった。赤ワインが好きで、若いころはボトル1本空けることもあった。最近は高齢で食も細くなったが、赤ワインを少したしなむこともあったという。

磯野フネの声を交代後も、毎週日曜日放送の「サザエさん」を楽しみに見ていたという。麻生さんの自室には、磯野フネの原画や置物、「サザエさん」の絵がプリントされたマグカップなど、「サザエさん」関連グッズが大事に置かれていた。「サザエさん」への思いを直接、口にすることはなかったという麻生さんだが、「サザエさん」への愛着をずっと持ち続けていた。