北新地NO・1キャバ嬢「楽しくなくちゃ」著書人気

大阪・北新地で天下をとった伝説のキャバ嬢、進撃のノア(撮影・丹羽敏通)

人気キャバ嬢、進撃のノア(23)が書いた「好かれる力」(光文社)がビジネス書として注目されている。デビュー5年で年収2億円を達成し、バラエティー番組にも出演。成功の裏にはいちずな仕事愛、逆境で身につけた語学力、そして癒やしの気配り…確かにビジネスのヒントがありそうだ。ノアに聞いた。

独特の名前には意味がある。「お客さんは一晩で何人ものキャバ嬢と接します。『進撃の巨人』は読んだことないんですけど、カッコよりインパクト。もっともキャバ嬢らしくない名前を考えました」という。

聖地大阪・北新地のトップに上り詰めた。セクシーな外見を想像するが、素顔はおっとりと癒やし系だ。とっつきがいい。話によどみがない。

大阪・八尾市の裕福で厳格な家庭に育った。

「3歳から始めたバレエに打ち込んでいましたが、中学に入った頃に左足を痛め、断念してから一気にグレました。もともと両親の愛情が重すぎたのかも。行き場を失っていたときにキャバ嬢を扱ったドキュメンタリー番組が目に入って、これだ! と思っちゃったんですね。キラキラした世界がたまらなく魅力的でした」

キャバクラ熱を冷ますために親が段取った高校3年間のニュージーランド留学は「苦痛でしかなかったけど、勉強するしかなかった。親にとっては裏目ですけど、英語の話せるキャバ嬢って他にいない。強みになっちゃいました」と笑う。数学も理科も、主要科目は全て英語で学んだ。「日本語おかしくないか心配ですが…」と首をかしげるが、青春時代を英語漬けで過ごしたことで、外資系や海外になじみの深い知的な客層から高い支持を得た。

大学と二足のわらじで始めたキャバ嬢生活。「好きな仕事だからキラキラしていられたし、接客が楽しくて、どんどんお客さんが付いてくれた。毎回100万単位で落としてくれるお客さんにも恵まれた」。あっという間にNO・1。てんぐになった。

「お店で浮きまくって仕事が楽しくなくなった。気づいたんです。お客を案内してくれるのはスタッフだし、評判を上げてくれるのはヘルプの子たちの言動。『好かれる力』を付けてこそ、本当のNO・1だって。お金だけじゃない。楽しくなくちゃ仕事じゃない」

大学を2年で中退し、キャバ専業にしてから年収2億円に。たった2日で2億円の売り上げをもたらしたこともあった。「テレビにも出させてもらって、良妻賢母を絵に描いた母が素直に食事の誘いやプレゼントを受けてくれるようになった。それが何よりうれしい」という。

9月いっぱいで専業を卒業。大阪でキャバクラ・グループのプレイング・マネジャーをしながら東京にも事務所を構えた。「具体的には考えていないけど今度はキャバ嬢らしからぬことをやりたい」。キャバ嬢のピークは27、28歳と言われる。中学で思い立ったこの人は常に5年先を行っている。【相原斎】

◆進撃のノア(しんげきの・のあ)1995年(平7)1月12日、大阪府生まれ。15歳のときにニュージーランドの高校に単身留学。大阪ミナミでキャバ嬢デビュー後、北新地に移り、現在も「ニルス」のNO・1。「有吉ジャポン」(TBS系)などに出演。著書「好かれる力」は発売当初からアマゾン書籍売り上げランキング上位を維持した。