鈴木保奈美「若い頃は殻作っていた」/インタビュー

役に合わせ、今作の取材では「だいたい腕を組んでます」と話す鈴木保奈美(撮影・林敏行)

女優鈴木保奈美(52)が、フジテレビ系の看板枠「月9」連続ドラマ「SUITS/スーツ」で弁護士事務所のボスを演じている。主演織田裕二(50)とは、91年の同局系大ヒットドラマ「東京ラブストーリー」以来、27年ぶりの共演。このほど日刊スポーツのインタビューに応じ、トレンディードラマ時代や子育て、そして、女優としてますます充実している今とこれからを語った。

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「SUITS/スーツ」(月曜午後9時)で保奈美が演じているのは、織田演じる敏腕弁護士・甲斐正午が所属する弁護士事務所の所長兼代表弁護士・幸村チカ。「東京ラブストーリー」で恋人関係を演じた「リカとカンチ」以来27年ぶりにタッグを組む織田の印象を「変わってないですね」と話した。「あのころは私の方が、自分のことで精いっぱいで余裕がなかった。織田さんだけじゃなく、他の共演者ともコミュニケーションがとれてなかった」と振り返る。

今回は息もピッタリだ。「織田さんとリハーサルをやって『こうした方がいいんじゃないか』と相談して監督に持っていく。わりと手作り感覚。織田さんの少しでも、1ミリでも面白くしたいという気持ちを、みんなが持っています」。初の弁護士役には「強烈なイメージを作りやすいし、面白い。スタッフや共演の織田さん、中島裕翔君、小手伸也さんとコミュニケーションをとっていけば、もっと楽しめるのが分かってきた」と笑みを浮かべた。

原作は米国の同名人気ドラマ。「オリジナルの同じ役を見ながら結構、悶々(もんもん)と考えもしました。でも視聴者の声が届いてくるので、どんどん反映して有機的に変化させていければ。それが連続ドラマの面白さだと思います」と話す。

98年に結婚したとんねるず石橋貴明(56)との間に3女をもうけ、30代前半から約10年、芸能活動を休み、子育てに専念した時期があった。「若いころは周りがみんな敵だと思ってました。隙をみせたら、やられちゃう。全てに対して殻をつくっていた」。娘の子育てをしていた時は「とにかく目の前にあることをこなさなきゃいけなかった。女優のことは考えてなかった」という。

40代半ばで復帰。今50代になった。ますます女優活動が充実してきた。「米国版がシーズン8まで続いているので、できることなら日本版もシーズンを重ねていければいいなと思います」と意欲をみせた。

80年代後半にトレンディードラマブームが始まった時、主演級女優の中で最も若かった。そこから先頭に立って引っ張ってきた。「『東京ラブストーリー』のころって、女優は30代、40代になるとお母さん役みたいなイメージしかなかった。今の時代は違う。私より数年上の先輩が、たくさん活躍していらっしゃるので、それを見ながらついていこうと思っています」。

平成の初めから大活躍、そして終わりに新たな実りの時を迎えている。「20代のころは仕事というものを、あまり分かってなかった。そこから10、20年と人生をやってきたから多少なりとも知識とか蓄積がある。成熟? 上手な言い方ですね。年をとったっていうことですかね」と笑った。【小谷野俊哉】

◆鈴木保奈美(すずき・ほなみ)1966年(昭41)8月14日、東京生まれ。84年ホリプロタレントスカウトキャラバン審査員特別賞を受賞し芸能界入り。86年TBS系連ドラ「遊びじゃないのよ、この恋は」で女優デビュー。89年同「白鳥麗子でございます!」、91年フジテレビ系「東京ラブストーリー」など、数々の連ドラで主演した。石橋との結婚を機に芸能活動を休んだが、11年NHK大河「江」で女優復帰。今月からNHKBSプレミアムの連ドラ「主婦カツ!」で主演中。160センチ。