ガッキードラマ挿入歌を歌うビッケブランカの素顔

笑顔でポーズを決めるシンガーソングライターのビッケブランカ(撮影・小沢裕)

男性シンガー・ソングライターのビッケブランカ(30)が、“新たなポップスシーンの革命児”として注目を集めている。新垣結衣(30)と松田龍平(35)がダブル主演の日本テレビ系ドラマ「獣になれない私たち」(水曜午後10時)の挿入歌「まっしろ」を歌う。ファルセット(裏声)が持ち味の美声に、独特の音楽センスを持ち合わせ、楽曲提供依頼も相次いでいるという。今月21日には、同曲収録のアルバム「wizard」を発売。このほど、日刊スポーツのインタビューに応じた。

 

◆「まっしろ」は書きおろし

-「まっしろ」は自身初のドラマタイアップ曲だ

「ドラマで使っていただけるのは初めてで、未知ではあったんですけど、ドラマの中でも、結構なボリュームで流していただいて、さらに演出にも絡んでいてすごくうれしいです」

-台本を読んで書きおろした

「特に縛りもなく、好きなように、と言っていただいてので、自然と迷いなく作れました。新垣さん演じる主人公の、頑張るんだけど、虚構の笑顔もあったり、何を目指しているのか分からない…ポワーンとした感じが出せたらと思いました。ちょっとコメディータッチなシーンもあるので、そこは考えて作りました」

-16年10月にメジャーデビュー。ロック、バラードからダンス曲まで、作る楽曲のジャンルも多彩だが、どんな曲作りをしているのか

「僕は全部、曲を先に作ります。編曲も自分でやるので、音楽で世界観が伝わった上で、それを補〓(土ヘンに真の旧字体)(ほてん)してさらに強くするのが歌詞(言葉)という考えです。日々、なんとなく曲のことを考えているんだとは思うんですけど、すーっと舞い降りることはないですね(笑い)。日々の生活の中で考えながら、一度頭の中で、ドラム、ギター、ベース、ピアノ、コーラス…と全部構成して出来上がります。そして、頭で鳴っているものを具現化していくという流れです」

-頭の中で全てが完結するのは驚きだ

「もちろん実際の音を聞いて気が付くこともあるので、そこで第2段階の編曲をする感じです。機械に頼らない、オーディオ録音にこだわりがあります。そうでないと、血が通った感じがしないので」。

 

 

◆きっかけは自分で作曲

-そもそも音楽を志したきっかけは

「父がフォーク好きで、通訳をしていた母は、フランスとかドイツのインディーズとかまで聞いていたり、自分で見つけてきたりするほどの洋楽好きでした。その影響で、小学校低学年の時にマイケル・ジャクソンとか、普通はその年代では聞かないような曲を聞いては、学校に持っていって流したりしてました。妹がピアノを習っていたんですけど、家にあるピアノで遊ぼうと。楽譜が読めないので、遊ぶためには自分で作って弾かないと始まらないという感覚でした」

-それもまた驚き。ピアノを習ったりは

「1回教室に行ったんですけど、そのピアノを弾いてる時間があったら、俺にフナを捕らせろと(笑い)。やんちゃで外で遊ぶのが好きだったので、習おうという感じにはなりませんでした」

-すべて独学。歌う方は

「声が昔からでかかったし、好きでした。合唱とかでも、『ちゃんと歌おう!』と声を掛けるタイプ。なんなら、譜面を見ながら弾いてる伴奏者に(歌う側として)どう心を乗せればいいんだっていう疑問を抱いて、自分でピアノを伴奏したこともありましたね(笑い)」

-将来、音楽の仕事に就こうとは当時から思っていた

「両親の教育方針で、何でもかんでも上手になるんじゃなくて、誰にも負けない、秀でたものを1つ磨くものだと、小1の時くらいから聞かされていました。やるなら1番になれと。何となくそれを無意識に探しながら、運動とか勉強じゃないなと。音楽だけは、1番リーダーシップを発揮できるし…という延長線上で今もやっている感じです」

-バンド活動などは

「1回だけやってみたんですけど、やり方とかも分からなかったので、自分以外のコントロールは難しくて…。人前に出てやることにも、目は向いてなかったですね。なんでこの音が出るんだろうとか、そういうことを調べたり、不思議に思ってやることを、とにかく覚えていった感じです」

-大学進学時に上京。プロになるきっかけは

「デモテープをいたるところに送りましたが、一切引っかからず(笑い)。何年か後に、インターネットサイトの「Myspace」に音楽をアップしたら、3日後くらいに当時のレコード会社さんから声を掛けてもらって、それで契約したのが初めてです。若いディレクターの方が気付いてくれてという感じです」

 

 

◆音楽を作るのが好き

-自分の強みは何だと感じるか

「時代の流れがあって、トップアーティストを作っていくという路線もあると思うのですが、自分はそこではなくて、別のラインにいるという自覚はあります。なので社会とか、時代を見ないので、自分に今何が出来るのかということばかりを見て曲を作っています。その繰り返しをこれからもしていくんだろうと思います。なので、どこの会場でライブをやりたいみたいな目標もないのですが、作る機会をもらったときに、とにかくめっちゃいい曲を届けたいという思いだけでやっています。何より音楽を作るのが好きなんです」

-今月21日には、1年4カ月ぶりに新アルバムを発売。来年1月からはアルバムを引っさげたツアーも始まる

「ただ曲を作り続けてきて、この期間で作ってきたものがスパンと入っているアルバムです。楽曲はリリースされたら聞いてくれた人のものになると思っていますが、1つだけ願いがあるとすれば、このアルバムが生まれて意味がある、価値があるものになっていたらなと思います。それを確認してもらえるのがライブです。今回はおもしろいアルバムになっていると思うので、ちょっとでも聞いてくれた方の何か得につながっていたり、いいことになっているといいなと思います」

 

◆ビッケブランカ 1987年(昭62)11月30日、愛知県生まれ。音楽好きな両親の影響で、幼少期からマイケル・ジャクソンら洋楽や、日本のフォーク曲まで幅広く音楽に触れる。大学進学時に上京し、16年10月にミニアルバム「Slave of Love」でメジャーデビュー。名前はポルトガル語で「純真な海賊」の意。マイブームは「フォートナイト」などのオンラインゲームをプレイすること。