イッテQでっち上げ「賞金や謝礼支払った」社長謝罪

「イッテQ!」の“やらせ疑惑”について話す大久保好男日本テレビ社長

日本テレビのバラエティー番組「世界の果てまでイッテQ!」(日曜午後7時58分)のでっち上げ疑惑について、同局の大久保好男社長が15日、都内で、兼務する日本民間放送連盟(民放連)の会長会見に出席し、「疑念を生み心配をかける事態になり、おわびを申し上げる」と謝罪した。さらに問題となった「祭り企画」を当面休止すると発表。次回の番組内で視聴者に謝罪するかは検討中だという。

民放連会長の定例会見だったが、同件に関しての質問が出ると、「この話に答えるつもりでいます。ここからは日本テレビ社長として会見したい」と切り出し、「イッテQの祭り企画について、疑念ご心配をかける事態となりました。大変申し訳なく思っています。多くの関係者のみなさんにおわび申し上げます」と頭を下げた。

「祭り企画に関しては真摯(しんし)に受け止め、視聴者のみなさまに自信をもって届けられるまで、当面休止します」と話した。収録済みで未放送のものは、1本あるという。祭り企画は、同局スタッフや関係者を中心に、社内横断的に調査を進めている。

大久保社長は「番組制作陣にやらせという意識はなかった」とし、今回の謝罪が「一連の報道で、祭り企画としては無理があるものまで扱うことで視聴者に疑念が出ているなど、関係各所に対する謝罪です」と説明した。

また、8日に同局が発表した文書では「セットなどを設置した事実はなく、番組から参加者に賞金を渡した事実もございません」としたが「コーディネーター会社を通じて賞金、謝礼などを支払っているとのことでした」と修正した。その理由を「事実の認識を誤っていた。そのため、説明不足になってしまった」と弁明した。「番組」は日本テレビプロデューサーなど狭く限定した表現だったとし、「これは誤り。現地コーディネーターは外部の人とはいえ、番組の成立に不可欠な存在で番組サイドであることに間違いありません」と撤回した。

メインMC内村光良(54)が13日の収録で、観覧者等に向け謝罪していたことも明かした。その謝罪の際、「撮影に際して、常々みんなもスタッフも全力でやっています。少しも手を抜くことはありません。それは理解していただきたいと思っています。番組が続く限り、我々一同全力でやっていきますので、今後とも『イッテQ!』をよろしくお願いします」とコメントしたことも報告した。

大久保社長は、祭り企画について「疑念を持たれないように可能な限り調査する」と約束した。

▼放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は9日に、同問題について同局に報告書の提出を求めることを決定している。委員会は原則、毎月第2金曜に開催され、次回は来月14日。委員会では報告書などをもとに審議・審理するべき事案か議論し、審議・審理するべき事案と決定した場合、関係者へのヒアリングなどの調査を行う。調査をもとに放送倫理違反や虚偽、捏造(ねつぞう)の内容の有無を判断し、当該局に通知し、一般にも公表する。

◆「イッテQ」でっち上げ疑惑の経緯 8日発売の週刊文春は番組内企画「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」の5月20日放送回で、ラオスの「橋祭り」をめぐり「やらせ疑惑」を報じた。現地日本人駐在員やラオス当局者らが「そのような祭り自体はない」と証言を得た。企画も日本側から提案された形で、現地のタイ人スタッフらがセット設営を手伝ったと伝えた。また、15日発売の同誌は、「カリフラワー祭りinタイ」(昨年2月12日放送)も存在しない祭りだと報道。現地の村長の証言として「あのゲームは収穫を祝うものではありません」と伝えた。参加者には、賞金も払われたという。