吉沢ひとみ被告、酒やめてない 夫「急激に減った」

18年9月27日、保釈後に報道陣に向け謝罪した吉沢ひとみ被告

酒気帯び運転でひき逃げしたとして、自動車運転処罰法違反(過失傷害)などの罪で起訴された元モーニング娘。の吉沢ひとみ被告(33)の初公判が29日、東京地裁で開かれた。涙を流して謝罪し、今後車を運転しないと誓ったが、飲酒については、証人として出廷した夫が「(酒量が)急激に減っています」と答えるにとどまった。検察側は懲役2年を求刑。判決は今日30日に言い渡される。

グレーのスカートスーツに白シャツ姿で入廷した吉沢被告は、今年9月27日の保釈時よりさらにやつれて、痩せていた。茶色だった髪は、黒に染まっていた。同28日に芸能界引退を発表しており、佐藤卓生裁判官から「無職ですか?」と聞かれ「はい」と小声で答えた。裁判官から「間違いありませんか?」と確認され「(間違い)ありません」と小さな声で答え、起訴事実を認めた。

起訴状によると、吉沢被告は今年9月6日午前7時ごろ、酒気帯びの状態で乗用車を運転し、時速86キロで赤信号を無視。横断歩道を歩行中の男女2人に軽傷を負わせ、そのまま逃げたとしている。検察側は、事故前日の午後8時すぎから深夜0時ごろまで自宅で酎ハイ3缶や焼酎のソーダ割りを飲んでいたと指摘。事故の目撃者が車を追いかけて声を掛けたが、無視して走り去ったとし「刑事責任を免れるためとしか考えられない」と批判した。

証拠の内容が述べられていく中、吉沢被告は、終始神妙な面持ちでじっと前を見つめており、何度も涙を流した。元所属事務所の代表取締役社長からの「人生の先輩、友人として今後も見守る」などと寛大な処分を求める嘆願書が弁護人に読み上げられると、何度もはなをすすって泣いた。

被告人質問では被害者への謝罪の言葉を繰り返した。現場から逃げた理由を弁護人から聞かれ「気が動転してパニック状態になった」。裁判官から認識の甘さを問われると「社会人として、1人の人間として考えの甘さ、気の緩みがあった」と答えた。取り消された運転免許の再取得まで最低でも9年かかるが、再取得するつもりはないとし、今後運転はしないと誓った。

ただ、保釈後も飲酒していたことも明らかになった。IT企業経営者の夫が証人出廷し、検察側から吉沢被告の事故後の酒量を聞かれると「急激に減っています」と回答。「全く飲んでない、ということではない?」と確認され「そうです。急激に減っています」と繰り返した。逮捕前、吉沢被告は毎日自宅のキッチンで酒を飲んでいたという。

検察側は、14年の免許取得からの約4年半で、吉沢被告が昨年9月、信号無視による事故を起こし罰金刑を受けたことなど、3点の交通違反と2回の事故を起こしたと指摘。今回の事故について「危険性が高く、悪質」とし懲役2年の実刑を求刑した。弁護人は被害者2人と示談が成立しているとして、執行猶予付き判決を求めた。吉沢被告は「これまでのようなことがないよう、起こしてしまったことを一生忘れずに生きていきたい」と誓って、涙をぬぐった。 【横山慧】

◆吉沢ひとみ(よしざわ・ひとみ) 1985年(昭60)4月12日、埼玉県生まれ。00年4月、モー娘に4期生として加入。同期は石川梨華、加護亜依、辻希美。愛称「よっすぃ~」。05年4月に4代目リーダーに就任。07年5月にグループから卒業。15年11月に結婚、16年7月には第1子男児を出産。血液型。