岩田剛典「ありがたいご縁」新人賞/映画大賞

日刊スポーツ映画賞・石原裕次郎賞で石原裕次郎新人賞を受賞した岩田剛典(撮影・河野匠)

第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)が3日、決定した。石原裕次郎新人賞は三代目 J Soul Brothers岩田剛典(29)が受賞。授賞式は28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われ、裕次郎夫人の石原まき子さんから岩田には賞金100万円が贈られる。

岩田が生まれる2年前に、裕次郎さんは亡くなった。リアルタイムで目にすることはなかったが「昭和の大スター。誰にでも愛されていて、現代にも名前がとどろいている方の賞なので、本当に光栄。表現者として、より気合を入れて頑張りたい」と話した。

偶然にも、慶応高-慶大法学部政治学科と同じ道を歩んでいる。「こんなことがあるのかなってビックリしました。世代を超えて、ありがたいご縁だと思います」と笑顔を見せた。

今年は主演2作をはじめ、公開作が続いた。「パーフェクトワールド-」では、車いすに乗って初めての障がい者役。河瀬直美監督(49)の「Vision」では、奈良・吉野で山ごもりして撮影し、“河瀬組”を経験。「去年の冬、きみと別れ」では、瀧本智行監督(52)の徹底指導を受けながら、シリアスな役にも挑戦するなど幅を広げた。

「きっと役者も頑張りたいんだなというのが、世間に伝わった1年になったんじゃないかと思います」

撮影はいずれも昨年に行われた。三代目J Soul Brothersは、年間2度の全国ドームツアーを敢行。同年公開の映画「HiGH&LOW」の撮影もあった。役者とパフォーマーとの両立に悩み苦しむ時もあったというが、EXILEのAKIRA(37)から体験談を聞き、アドバイスも受けながら、乗り越えてきた。「今はどちらもバランスが取れて、全力投球できていると思う。人を喜ばせたり、笑顔にすることが好きでこの世界に入ったので、これからも型にはまらずにやっていきたいです」と充実感をにじませた。【大友陽平】

◆岩田剛典(いわた・たかのり)1989年(平元)3月6日、愛知県生まれ。中学から慶応普通部に入学し、慶大法学部卒。大手企業への就職内定も10年11月、三代目J Soul Brothersとしてデビュー。14年4月からEXILE兼任。同年にフジテレビ系ドラマ「ディア・シスター」に出演など俳優活動を本格化。16年に映画「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」で初主演。今年は日本テレビ系「崖っぷちホテル!」で連ドラ初主演。血液型B。

◆パーフェクトワールド 君といる奇跡 鮎川樹(岩田)は夢をかなえ1級建築士になったが、学生時代の事故で車いす生活を送っている。インテリアコーディネーターつぐみ(杉咲花)は、仕事先の会合で高校時代の先輩で初恋相手の樹と再会。柴山健次監督。

◆去年の冬、きみと別れ 記者の耶雲(岩田)は、天才カメラマンとの呼び声が高い木原坂(斎藤工)を猟奇殺人事件の容疑者として狙っていた。真相に近づく耶雲だが、木原坂のわなが、耶雲の婚約者、百合子(山本美月)に及ぶ。瀧本智行監督。

◆Vision 世界を旅して紀行文を執筆する仏人女性ジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は、奈良・吉野を訪れ、山守の男、智(永瀬正敏)と言葉や文化の壁を越えて心を通わせる。ジャンヌと智、森に迷い込んだ鈴(岩田)たちを描いた。河瀬直美監督。

◆石原裕次郎新人賞・選考経過 岩田剛典が過半数を獲得し、受賞した。「ダンスではスターだが、芝居に取り組む姿勢がすばらしい。誠実で謙虚、責任感もある」(佐々木基氏)と、裕次郎さんにも通じるナイスガイぶりが評価された。玉置玲央には「なかなか鮮烈な、印象に残る子」(秋山登氏)という声も。

◆石原裕次郎新人賞 裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな映画デビュー5年以内の新人が対象。賞金100万円。選出ハードルは高く、該当者なしの年も多く、31回目の今回で15人目の選出。