高橋一生が助演男優賞、初の国内映画賞/映画大賞

第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞で助演男優賞を受賞した高橋一生(撮影・横山健太)

31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)が3日、決定し、助演男優賞には「空飛ぶタイヤ」などに出演した高橋一生(37)が選ばれた。

助演男優賞の高橋一生は、対象作「空飛ぶタイヤ」で冷静沈着だが内面は熱いエリート銀行員を、長沢まさみ(31)と共演した「嘘を愛する女」で過去を隠して生きる男を演じた。「億男」も含め今年の出演作は5作品。「俳優なので脚本がベース。今まで通りのお芝居をして、役を変えたり差異をつける意識はなく、やらせていただきました」と振り返った。

近年、実力派俳優としてブレーク。子役時代も経た俳優のキャリアは長いが、環境の変化を「重く受け止めました」と明かす。「対する人たちの対応が変わって驚くこともありました。平静を保っていられない時もあったし、自分の生活がしづらくなってしまうと、慌てる部分も多々ありました。去年の夏ごろからですね」と振り返る。

その1年後の今夏ごろから、ある境地に達したという。「とってもポジティブに、自分でいるしかない、というくくり方ができたような気がします。ジタバタしてみて」。多忙な毎日に充実感を感じている。「趣味が仕事、というのがピッタリだなと。お芝居を楽しいと思ってやれているので、精神的には安定しています」。

国内の映画賞は初受賞。「お芝居のやり方を変えたわけではなく、たまたまやってきたことにスポットが当たった時、見てくださる方が多数いた結果では」と恐縮しつつ「とてもうれしいです。20代までは鬱々(うつうつ)とした毎日で、賞なんていただける人生ではなかったので」と表情は晴れやかだった。【近藤由美子】

◆高橋一生(たかはし・いっせい)1980年(昭55)12月9日、東京都生まれ。8歳で児童劇団に入団。90年「ほしをつぐもの」で映画デビュー。映画は「世界の中心で、愛をさけぶ」「シン・ゴジラ」、ドラマはNHK大河「おんな城主 直虎」TBS系「カルテット」など多数。今年は連続ドラマ2本にも出演。現在のCM契約は「キリン 生茶」など10社。独身。175センチ。血液型O。

◆嘘を愛する女 由加利(長沢まさみ)は、研究医の桔平(高橋)と同居中。ある日警察に、くも膜下出血で倒れた桔平の運転免許証、医師免許証が偽造だと聞かされる。由加利と探偵(吉田鋼太郎)は、桔平が何者かを探す旅に出る。中江和仁監督。

◆億男 兄の借金を返済する一男(佐藤健)が、3億円の宝くじを当てる。高額当選者たちの悲惨な末路をネットで知った一男は、学生時代の親友で、起業家にして億万長者の九十九(高橋=写真(右))にアドバイスを求めるが、九十九と3億円が消えた。大友啓史監督。

◆空飛ぶタイヤ トレーラー脱輪事故で整備不良を疑われた運送会社社長の赤松(長瀬智也)は車両そのものの欠陥に気付く。大手のホープ自動車の沢田(ディーン・フジオカ)に調査を依頼し、ホープ銀行の井崎(高橋)も独自調査を開始する。本木克英監督。

◆助演男優賞・選考経過 たたき上げの渋川清彦に「どの作品でも存在感がある」(寺脇研氏)と応援票が集まったが、決選投票で高橋一生に軍配。「ミステリアスな役が良かった。これだけ活躍しても、何も受賞していない」(神田紅氏)という声が最終的に勝った。