上沼流?好き嫌いじゃ選べない!大学M1審査で実感

大学生M-1グランプリ2018で優勝したダイソンウェイパーの佐坂誠一(左)と山田敬弘

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

M-1グランプリ決勝から3週間以上がたった。結果より、前年王者とろサーモン久保田かずのぶ(39)とスーパーマラドーナ武智(40)の審査員上沼恵美子(63)に対するSNSでの暴言が注目されてしまった。ちなみに優勝したのは、関西の若手の霜降り明星でした(笑い)。

こんなドタバタ騒動を、仕事であるから連日のように報じた。当事者である芸人や、久保田、武智の所属する吉本興業の人たちは、必死で事態の沈静化を図っていた。

そして、賛否両論を呼んだ上沼の「好き嫌いで選びます」という言葉をかみしめるできごとがあった。10日ほど前、大学生漫才日本一を決める「大学生M-1グランプリ2018」の審査員を務めた。今年で15回目。途中、5年間の中断があった本家M-1より、1回多い(笑い)。

史上最多の218組の参加者から、事前審査で選ばれた7組と敗者復活から勝ち上がった1組の計8組がセミファイナルステージを戦う。そして、その上位3人がファイナルステージで優勝を争った。

記者以外の審査員は、NSC1期生で、村上ショージ、Mr.オクレとともに「何人トリオ」を組み、フジテレビ系「オレたちひょうきん族」に出演していたというレジェンドの放送作家・前田政二氏。女芸人を語らせたら随一の、お笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」のツッコミ新道竜巳。東大出の新進気鋭のお笑い評論家・ラリー遠田氏。そして、お笑いライブを制作、芸人マネジメントをする「K-PRO」の代表の児島気奈氏。お笑いの「プロ中のプロ」の4人だ。

記者もお笑い取材歴は長いが、ドラマ、映画と取材対象は、他にもある。言うなれば、事情通のヨカタ(素人)だ。

プロのように精密な分析はできないので、最初のあいさつの時に「好き嫌いで審査します」と上沼のセリフをパクって、軽く滑った笑い。それでも、審査は順調に進み、ファイナルに残った3組の争いとなった。

ファイナルの結果は、審査員5人が一番良かったと思われるコンビに投票。慶大の男女コンビ「キャラメルアンセム」と創価大のコンビ「ダイソンウェイパー」が2票ずつ。そして、ただ1人、慶大のコンビ「サンタニック・ブンブン・ヘッド」に投じたのが自分だった。

決選投票かと思っていたら、司会者が記者に対して、「キャラメル-」と「ダイソン-」のどちらかから優勝者を選ぶように指示してきた。一気に冷や汗が出てきた。「サンタニック-」は、どうせ優勝に届かないだろうけどと、まさしく「好き嫌い」で選んでのんきにしていたからだ。会場中の注目が集まる…。

幸いなことにネタごとにキッチリと点数をつけて審査していた。ファイナルで、「サンタニック-」と同点の最高得点をつけた方の「ダイソンウェイパー」を迷わず優勝に指名した。それでも、指名した後は落とした「キャラメル-」の方を見るのがつらかった。上沼とはレベルが違うが、審査員の大変さを味わった。

ダイソンウェイパーは創価大落語研究会に所属する、ツッコミの佐坂誠一(4年=22)とボケの山田敬弘(4年=22)のコンビだ。卒業後は、大阪のNSCに入って一からプロを目指すという。

ちなみに、準決勝から全てのネタを見た今年のM-1で、一番面白かったのはマヂカルラブリーのクリスタル野田(32)だ。前年の決勝で、上沼に酷評されて最下位に終わって話題を呼んだあのコンビだ。今年は準決勝で敗退して、敗者復活戦に登場。記者の好き嫌いで言えば、マヂカルラブリーとプラスマイナスが面白かったが、視聴者投票では知名度抜群のミキが“予想通り”勝ち抜いた。

素晴らしかったのは、ネタが終わり敗者復活戦の出場者全員がそろったテレビ中継で、野田が「(上沼)恵美ちゃ~ん、待っててね~」と叫んだ時。芸人だったら、どんなに偉い人相手でも、どんなに緊張する場面でも、笑いにつなげなきゃ…その後の騒動を振り返りながら、つくづく思う。