「3年A組」富田望生に名バイプレーヤー誕生の予感

幸せそうな表情でインタビューに答える富田望生(撮影・中島郁夫)

3月10日に最終回を迎える日本テレビ系ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日曜午後10時30分)で存在感抜群の女優がいる。富田望生(19)。

ぽっちゃり体形に愛くるしい表情が、“ぽちゃカワ”と話題だ。4月1日開始のNHK連続テレビ小説「なつぞら」でもヒロイン広瀬すず(20)のクラスメート役で出演する注目株に話を聞いた。【聞き手=大友陽平】

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「3年A組」の魚住華役で見せる柔和な笑顔や愛くるしいキャラクターは、永野芽郁(19)川栄李奈(24)今田美桜(22)福原遥(20)ら同世代の実力派女優がそろう中でも存在感を見せている。スリリングな展開が話題を呼ぶ学園ミステリーは、回を追うごとに視聴率も上昇中だ。

「9話(3月3日放送)の最後に、(永野演じる茅野)さくらが『私が殺したの』と言うのも、『何言ってるの?』と思ったくらい、次の台本をいただくまで私たちも先の内容が分からない状態で撮影をしていました。なので、毎回『こういう真相だったんだ』ってビックリしてました。役者として、ライバル心はそれぞれあると思いますが、こんないざこざがないクラスはあるのか? というくらい、現場はいいチームです」

菅田将暉(26)演じる美術教師・柊一颯が、生徒29人に「今から皆さんは、僕の人質です」と宣言し、ある真実と向き合う姿を描く同作品。鬼気迫る表情で生徒に迫る姿や言葉が印象的だ。

「毎回泣いているのは、本気の涙です。役として感じるのはもちろんですけど、自分自身でも感じることが多いんです。これだけ生徒役のみんなが一致団結できているのも、菅田さんの存在が大きいです。菅田さんから言われたのは、撮影の2日目か3日目くらいの時、主題歌の『生きる』を聞いてください、ということだけでした。最終回も、一颯先生と私たち生徒が10日間で築き上げた信頼を、自分のことのように受け取っていただいたらうれしいです」

富田演じる華は、須永賢(古川毅)に恋心を寄せる。3年後の生徒たちが描かれた9話では、華が12回の告白の末、交際に発展することが明らかになったが、現場では菅田の言動に胸キュンのようだ。

「菅田さんは、華ちゃんって呼んでくれるんですが、呼んでくださる時の顔が優しい顔をされていて、ものすごくうれしいんです。9話の喪服のシーンは『めっちゃ色っぽくなってたね』って言っていただいて…。そう見えたんだって…ハート」と顔を赤らめた。

幼い頃は、ピアノの先生になるのが夢だった。11年の東日本大震災の影響で上京。「やりたいことが見つからなかった」という少女は、芸能事務所の養成所の広告を目にした。

「母に内緒で応募しました。週1回のレッスンが習い事みたいで、中ぶらりんのところから抜け出せました」

約2年後、オーディションを経て、映画「ソロモンの偽証」(15年)でデビューした。もともとのぽっちゃり体形から、さらに体重を増やす役作りも行ったが、抵抗感は「なかったです」と笑う。広瀬や福原と共演した映画「チア☆ダン」(17年)では、ぽっちゃり体形ながらキレのあるダンスが話題になった。三枚目キャラを受け入れる覚悟もできた作品だった。

「同年代のすずちゃんや福原遥ちゃんらに囲まれて、こういう役を私はやるべきなんだと、自覚しました」

憧れの女優像は、「ソロモンの偽証」で母親役だった池谷のぶえ(47)。ことあるごとに相談にも乗ってくれる“芸能界の母”といい「いつか自分がお母さん役をやる時が来た時に、子ども役の子に同じことが出来る女優さんになりたい。心遣いできる人が目標です!」と謙虚だ。

広瀬とは「チア☆ダン」「SUNNY 強い気持ち・強い愛」に続いて、「なつぞら」で、3度目の共演を果たす。

「すずちゃんの姿を見ていて、作品を背負える人間になりたいという思いはもちろんあります。でも“主人公の隣にいる意味のある女の子”という立ち位置を今はすごく大切にしたいんです」

そう目を輝かせながら話す姿からは、新たな名バイプレーヤー誕生を予感させた。

◆富田望生(とみた・みう)2000年(平12)2月25日、福島県生まれ。東日本大震災の影響で上京し、15年に映画「ソロモンの偽証」で女優デビュー。17年に「チア☆ダン」「あさひなぐ」、18年に「SUNNY 強い気持ち・強い愛」など出演。4月からNHK連続テレビ小説「なつぞら」で広瀬すず演じる主人公のクラスメート役で出演。趣味はカメラで「この1カ月で使っているフィルムカメラでは、上白石萌歌ちゃんにお店に連れていってもらって一緒に選びました」。152センチ。