ラストアイドル「大人サバイバー」は自分たちの歴史

「大人サバイバー」でフロントを務めるラストアイドルの、左から長月翠、阿部菜々実、間島和奏

秋元康氏プロデュースの女性アイドルグループ、ラストアイドルが、4月17日に6枚目のシングル「大人サバイバー」を発売する。アイドル活動のさなか、テレビ朝日系バラエティー番組「ラスアイ、よろしく!」では、大人数で行進や動きをそろえる「歩く芸術」に挑戦。結束力を高めたメンバー52人が、その成果を見せるべくリリースする作品は、振り付けの一糸乱れぬシンクロ率にも注目だ。発売を前に、センター阿部菜々実(16)とフロントメンバー長月翠(18)間島和奏(18)に話を聞いた。

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-「ラスアイ、よろしく!」で、日体大の清原伸彦名誉教授の監督指導による「歩く芸術」に挑戦しました。その動きをふんだんに取り入れたミュージックビデオ(MV)が、とても鮮やかです

長月 大変でした…。学校の校庭で踊るシーンがあるんですけど、私はダンスを覚えるのが苦手で、あの日も全然覚えられなかったんですよ。みんなと全然違う方向に行っちゃったりして、使えない映像をいくつも生み出してしまいました(笑い)。最後の最後に4列に並ぶ場面は、私が1番前の端なんですけど、間違えてしまって行けなくて、和奏ちゃんが私を捕まえて連れて行ってくれたんです。

間島 強制連行みたいだったね(笑い)。

長月 動きが難しすぎて、みんな覚えられなくて、撮りながら少しずつ覚えていたんですよ。本当に助かりました。

間島 でも、思い切り引っ張って「連行」しちゃったので、申し訳ないです。

阿部 私、それ気付かなかった(笑い)。

-2期生を含めた全52人でMVを撮りました

間島 1日で撮りきりました。校庭でのシーンも、スタッフさんが「日が落ちるから、これが最後だよ!」って鼓舞してくださって。

長月 そんな中でミスしちゃいました。

間島 なので、連行しちゃいました。

一同 (爆笑)

-3月24日には、バスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダース-レバンガ北海道戦で、練習の成果を披露しました

長月 大成功でした。誰もミスしてなくて、集中力を鍛えられました。

阿部 だから、MVの映像を見ていると、まだもう少しそろえられたなって思います。皆さんに披露する10日前に撮影したんですよ。

-歩く芸術を通して成長したところはありますか

間島 私は歩く芸術の指揮者をやらせていただいていたんですけど、すぐ謝っちゃうクセを、清原監督に「あなたは『ごめんなさい』を言い過ぎだよ。そんなに言ったら、謝罪の価値がなくなる」って指摘されました。なので、日常からそのクセを直すようになりました。

長月 和奏ちゃんは号令をミスした時に、みんなに「すいません!」って謝っているのを聞いていたんですけど、練習も後半になってくると、「これがこうだったので、こうします」っていう風にどんどん変わっていったよね。

-そんな大変な思いをして完成した「大人サバイバー」は、どんな曲ですか

阿部 一言で…「サバイバー」という感じです(笑い)。

間島 そのままじゃん!

一同 (爆笑)

-では間島さん、お願いします(汗)

間島 ひと言で言うと「ラストアイドルの歴史」という感じがします。ラストアイドルの最初から、歩く芸術をやってきた現在までを振り返っているというか、歴史が鮮明に思い浮かびます。

-歌詞で言うと、どの部分ですか

間島 「ある日突然僕たちはこの世界に放り出された」、「ここがどこだかわからない」とか…。歩く芸術をやると言われた時に思ったんですよね。「歌って踊るアイドルになりたいのに、なんで歩くんだろう」っていう、みんなの気持ちにも当てはまるなって。

-メッセージ性が高い曲です。どう楽しんで欲しいですか

阿部 私たちの振り付けは激しい感じではないんですけど、「Hey! Hey!」っていっぱい言うところがあるので、そこで盛り上がって欲しいですね。一体感が生まれると思います。

長月 あと、行進の足踏みも一緒にして欲しいですね。

-曲名にかけて、大人になったと感じる瞬間はありますか

長月 うにを食べられるようになりました。小さいころは食べられなかったんですけど、(4枚目シングルでプロデューサーを務めた)後藤次利さんにごちそうしてもらった時、おいしくて、大人になったなって感じました(笑い)。

阿部 私も食の好みが変わりました。普段は和食が好きで、ご飯とおみそ汁に、おかずはおしんことか…(笑い)。それが、ハンバーグとかピザも食べるようになりました。

-間島さんは

間島 私も食なんですけど(笑い)、白子ポン酢と馬刺しのおいしさを知りました。でも、わさびはまだ無理なので、まだ子供かな(笑い)。

長月 私はわさびは好きだよ。お酢とか、梅干しとか、体に違和感が出るものが好き。

-体が違和感を求めているんですかね

長月 ドMなところもありますね。表向きはSなんですけど、裏はドMです…って、何を聞くんですか!

一同 (爆笑)

-衣装が特徴的です。左を向くと白、右を向くとブルー系ですね

阿部 斬新でかわいいなって思いました。歩く芸術の時に、衣装のおかげできれいに見えるので、好きな衣装です。

長月 巻きスカートなんですけど、「走れメロス」みたいにヒラッとなって、ちょっと恥ずかしいです(笑い)。

-今回、フロントメンバーですが、お互いの印象はどうなんですか? 間島さんは番組「ラストアイドル」1stシーズンでの直接バトルで、阿部さんの挑戦を受けて敗れたという間柄です

間島 最初は話しかけにくかったんですよ。それに、菜々実ちゃんも話しにくいだろうなって。でも、菜々実ちゃんってずっとニコニコしていて、そういう(根に持つ)感情がなさそうだなって思ったんですよ。そこから話すようになりました。一緒に映画(「がっこうぐらし!」)の撮影に入ってからは、壁はまったくなくなりました。

-阿部さんはなぜニコニコしているんですか

阿部 生まれつき、すぐ笑っちゃう性格なんですよ。自分の笑顔が嫌いで、一時期ずっと笑わない時もあったんですけど、お母さんに「しゃべらないし、暗くて、笑うことしか取りえがないんだから、笑っていなさい」って言われて、笑うようになりました。

-元モーニング娘。の安倍なつみさんから、ご両親が思いついた名前だそうですね

阿部 そうなんですよ。アイドル(の活動)に関しては、お父さんがアドバイスをくれます。私の発言とか行動に対して、「これはこうした方がいい」とか言ってくれるんです。

長月 ななはお父さんに逐一、「これツイートしていい?」って送って相談してるよね?

阿部 陰のプロデューサーみたいな感じなんです。

-阿部さんから見た間島さんは

阿部 和奏ちゃんは、テレビで見ていたころから優しそうだなって思っていました。バトルが終わった後でも、和奏ちゃんとの対決で良かったなって思うところもあるし、みんなを引っ張ってくれている存在だから、ラストアイドルといったら和奏ちゃんだなって思います。

-長月さんから見た2人は

長月 和奏ちゃんは、私が「これ、変かな?」って相談すると、「変だと思う」とか、はっきり言ってくれるんです。だから、すごく信頼しているし、ありがたいです。あのMVの時も、和奏ちゃんだから私を引っ張ってくれたと思うんです。ななだったら…見て見ぬふりだったかも。

一同 (爆笑)

-そんな阿部さんに対しては

長月 初めて見た時、「この子、すごい」と思いましたよ。収録を見に来ていた私のお父さんが、ファンになっちゃったんです。私がバトルに負けたのと、なながセンターになったのが同じ収録日だったんですよ。お父さんは「センターになった子、ヤバイね。足、長すぎない?」って、ずっと話してたんです。私が目をパンパンに腫らして泣いてるのに、そっちのけで。

一同 (笑い)

長月 それはともかく、今のアイドルってしゃべれないと生きていけないって言われる中、ななはあまり話さなくても存在感がある。すごいとしか言えないです。

-阿部さんから見た長月さんは

阿部 翠ちゃんは「ザ・アイドル」ですね。さっきも裏表があるって言ってたけど、そこがアイドルだと思います。ムードメーカーだし、翠ちゃんがいるから成り立っている部分も大きいです。

-アイドル界全体を見ると、HKT48指原莉乃さんが卒業を控え、新たな時代に突入しそうです

長月 ラストアイドルはバトルが終了して、平静の世の中なので、もう1度バトルをやりたいです!

阿部 私もバトルをもう1度、したいです。歩く芸術を終えてみて、アイドルとして歌って踊ることが幸せなんだなって、より思えるようになりました。

間島 私は気が弱い方なので、身内の戦いはちょっと…。でもバトル自体はやめたくなくて、他のアイドルさんとバトルはやりたいですね。

長月 それ、いいね。自分たちが外に出た時に、グイグイ勢いを出していけたらいいなって思います。「サバイバー」なので、生き残ります!

間島、阿部 おぉ~!

◆阿部菜々実(あべ・ななみ)2002年(平14)5月17日、山形県生まれ。愛称「ななみん」「なな」。3歳からアイドル活動を始め、仙台のアイドルグループと兼任中。168センチの9頭身ガール。オーディション番組「ラストアイドル」で、間島和奏に勝ち、LaLuce(当時の名称はラストアイドル)のセンターを獲得した。

◆長月翠(ながつき・みどり)2000年(平12)5月17日、愛媛県生まれ。愛称「みーたん」。地下アイドルなどで活動後、17年にラストアイドル暫定メンバーとして、オーディション番組「ラストアイドル」に出演。1度は敗れたものの、勝者の辞退で敗者復活戦に臨み復活した。グループ内ユニットLaLuceとシュークリームロケッツを兼任する。

◆間島和奏(まじま・わかな)2000年(平12)4月26日、北海道生まれ。愛称「和奏」「まじまじ」。17年にテレビ朝日系「ラストアイドル」暫定メンバーオーディションに合格。阿部菜々実の挑戦に敗れ、以後2ndユニットSomeday Somewhereとして活動。3枚目シングル「好きで好きでしょうがない」でセンターに。

◆ラストアイドル 17年8月、テレビ朝日系で放送開始したアイドルオーディション番組から生まれた女性アイドルグループ。暫定メンバー7人が、挑戦者から指名されて1対1のパフォーマンスバトルを展開(1stシーズン)。勝敗でメンバーが入れ替わる方式を採用した。勝ち残った7人がラストアイドル(現LaLuce)として、敗者たちがシュークリームロケッツなど、2ndユニットを結成した。さまざまな形式のバトルを経て、現在は2期生も含めて52人が所属する。