主義主張はそれぞれ…松重豊の勇気と覚悟感じた会見

フジテレビ系「パーフェクトワールド」制作発表に出席した前列左から中村ゆり、松坂桃李、山本美月、瀬戸康史、後列左から松村北斗、松重豊、麻生祐未、木村祐一(2019年4月8日撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

4月8日に行われたフジテレビ系ドラマ「パーフェクトワールド」(火曜午後9時)制作発表。車いすに乗った建築士を演じる主演の松坂桃李(30)が初の本格的恋愛ドラマへの意気込みを語り、ヒロイン役の山本美月(27)が2次元キャラへのいちずな恋を打ち明けるなど、人気俳優がそろった明るい会見となった。その中で、ひと味違う、含蓄と問題提起に富んだ発言をしていたのが松重豊(56)だった。

松重は冒頭あいさつでこう語った。

「恋愛がテーマですけども、周りの大人たちまで、その(主演とヒロイン)2人との関係との中で突きつけられるものがいっぱいありまして、そっちがドラマとして、見ている方にも共感を得たり、ちょっと反感を覚えたり、ということもあって、いろいろな問題があると思うんですけども。世の中、正論だらけになっているんですけども、当事者として、その少数意見というものもあるんじゃないかということが、ドラマをやりながらいろいろと考えさせられる。いろいろな見方ができると思いますので、どうぞ楽しみにしていてください」。

松坂らの役柄、物語の設定、描写をめぐって、ひょっとしたらネットなどで賛否両論あるかもしれない。下積み、悪役なども長年こなし、最近はすっかり名バイプレーヤーの仲間入りした松重は、自らの経験などからそんな空気を察知し、共演者が自由に演技できるような空気を作ったようにも映った。

好みや主義主張は人それぞれ、それでいい。そんなことを伝えるかのような、松重の、一本筋の通った、勇気と覚悟を感じた制作発表会見だった。【大井義明】