映画センターライン初日、監督はシリーズ化意欲

映画「センターライン」初日舞台あいさつに登壇した、左から藤原未砂希、もりとみ舞、松本高士、望月めいり、吉見茉莉奈、下向拓生監督、小野優樹(撮影・村上幸将)

死亡事故を起こした人工知能(AI)を法で裁けるかをテーマに描いた映画「センターライン」(下向拓生監督)初日舞台あいさつが20日、都内の池袋シネマ・ロサで行われた。

主人公の検察官・米子天々音を演じた吉見茉莉奈(28)は「シネマ・ロサさんでの上映は、18年末くらいから準備してきました。打ち合わせして、この1カ月、チラシ配りをして、ようやくここまでたどり着いた。今日、私はここにいる誰よりも楽しみにしていました」と感慨深げにあいさつした。その上で「まさか、シネマ・ロサさんで上映できることになるとは」と感謝した。

感謝するのも、無理はなかった。池袋シネマ・ロサは、製作費300万円ながら興行収入31億円超と、日本映画史に残る大ヒットを記録した18年の映画「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)を初日から258日連続で上映するなど、インディーズ映画の“聖地”として知られる。「センターライン」は、第21回サンフランシスコ・インディペンデント映画祭(米国)で映画審査員賞、ロンドン・フィルムメーカー国際映画祭(英国)で外国語映画部門最優秀編集賞など国内外の映画祭で賞を受賞した中で、福岡インディペンデント映画祭2018でグランプリを受賞した副賞で、同劇場での2週間の上映を勝ち取った。

早くも、映画業界の一部では、2年目の若手検察官・米子の次の活躍を見たいという声が上がっており“検察官米子シリーズ”の継続を望む声がある。長野県松本市でソフトウエアエンジニアとして働く傍ら、映画を製作する下向拓生監督(31)は「毎回、この映画が最後と思って作っています。『センターライン』も、最後にしようと思って作りました。でも最後(エンドロール)に「to be continued」と(テロップを)出しました。もし面白い、続きを見たいと思ってくださる方がいらっしゃったら、応援して欲しい」と観客に呼び掛けた。

この日は、自動運転系AI「MACO2」が運転する車に乗っていて亡くなったソフトウエア技術者・深見蘭子役の望月めいり(32)、松本高士、もりとみ舞、藤原未砂希が登壇。また主題歌を担当した歌手の小野優樹がミニライブを開き、主題歌「シンギュラリティ・ブルース」を含む3曲を歌唱した。小野は「監督の依頼を受けて、弾き語り音源を渡したら『そういうの、いいんで、書き下ろしをお願いします』と言われた」と言い、笑った。【村上幸将】