希少がんで死去のモデル雅子さんを夫が描き映画公開

映画「モデル 雅子 を追う旅」のビジュアル

2015年(平27)1月29日に、希少がんの肺動脈肉腫(サルコーマ)で50歳の若さで亡くなったモデルで女優の雅子さんの夫・大岡大介氏が監督、プロデューサーを務めたドキュメンタリー映画「モデル 雅子 を追う旅」が完成し、7月26日から8月1日まで東京・アップリンク吉祥寺で公開されることが10日、決まった。

雅子さんは19歳でモデルとしてデビューし、雑誌「an・an」や「装苑」「クロワッサン」などで活躍。女優としても、98年に第1作が公開された映画「リング」シリーズで、貞子の母志津子を演じた。

雅子さんは13年、病に倒れた。同年5月にせきが止まらなくなり、入退院を繰り返す中で、同11月にサルコーマが見つかった。血液検査でも見つけにくい10万人に1、2人がかかる希少がんだったが、手術を受けて一時、退院。14年7月には、モデル活動30年を記念した著書「雅子スタイル」を出版したが、同年秋に転移が発覚し、再入院。入院中は、見舞客に「忙しいのに来てくれてごめんね」と気遣うなどして最期まで病と闘い抜いた。

亡くなる前日の15年1月28日は、昼は友人と昼食をともにして「おいしいね」などと会話を交わしていたが、午後2時すぎに容体が急変。肺動脈肉腫による多臓器不全のため、15年1月29日の夜明け前に亡くなった。

雅子さんの死後、夫の大岡氏が「夫婦として共に生きながら、モデルとしての雅子をほとんど知らないまま」だったことに気付き、「モデル・雅子」の半生を追い、映画にして伝えていくことを決意。自宅に積まれたままになっていた、雅子さんが登場した雑誌やビデオなどを片っ端から調べた。

その上で、大岡氏は衝動のままに竹中直人、高嶋政宏ら、生前の雅子さんを知る人々へのインタビューを敢行。数多くの関係者の言葉から、プロフェッショナルのモデルとして生涯を貫き通した雅子さんの姿勢と、どんな時代も「身の丈の美しさ」を追求し続けた裏に隠された1人の女性としての雅子さんの輪郭、素顔を解き明かす映画「モデル 雅子 を追う旅」が完成した。

映画のメインビジュアルには、写真家の安珠氏が20年以上前に撮影した、新人時代の雅子さんの写真が使用された。ツバキの花を背景に少女の様な純粋を感じさせる一方、力強いまなざしで妖艶さを見せる、雅子さんの魅力が詰まったビジュアルが完成した。