現役医師芸人“しゅんP”初即興コント挑戦「不安」

「THE EMPTY STAGE GRAND」に出演する、しゅんしゅんクリニックP

現役医師のイケメン芸人、しゅんしゅんクリニックP(35)が、吉本芸人が1人しゃべりと即興コントを競う「THE EMPTY STAGE」(8月17~25日、東京・新宿FACE)に出演することが26日、分かった。キレのあるダンスと歌のリズムネタ「へいへいドクター」で「トレイに行くと肘まで洗っちゃう」「山Pみたいな医者いない」「大門未知子みたいなセリフ言わない」と医療あるあるネタでブレークし始めた。

昨年まで5年連続で銀座で開催されたが、今年からインディー系プロレス団体のメッカである新宿FACEに会場が移る。観客数も100人から、300人と大幅にアップ。その切り札に指名された形だ。初の即興コント挑戦に“しゅんP”ことしゅんしゅんクリニックPは「不安ですね。でも、悩んでもしょうがない。想像がつかないけど、気心の知れたレインボーとかと一緒だからなんとかなるでしょう」と、自ら“診断”を下している。

群馬県前橋市生まれで、父親が精神科医。母親も看護師の資格を持っている。地元の国立群馬大医学部を卒業して、医師免許を取得、2年間の研修医を終えた。エリートのイケメン医師の誕生のはずだったが、10年にNSC東京に入所してお笑いの世界へ。

11年には美容師の相方とフレミングというコンビ結成。16年に解散して、ピン芸人になった。「父親の背中を見て育ったので、中学生の時に医者になりたいと思いました。その一方でダウンタウンさんがすごく好きで、お笑いで人を救えたらと思うようになりました。大学時代はM-1の1回戦を見るために群馬から上京するくらい、お笑いが好きになっていました」と振り返る。

研修医を終えて医局に入るところを「NSCという“医局”に、26歳で入ってしまいました。400床くらいある市民病院で研修医をしていたんですけど、指導してくれた先生や仲間には『群馬に帰って医師になる』ってうそをついてしまいました」。息子が医師になるのを期待して見守ってきた両親は、意外にも「好きなことをやれ」と許してくれたという。「医師免許を取っていたからでしょうね。NSCでも医師免許を持っていることを、最初は隠していました。履歴書にもちゃんと書いたんですけど、ボケかと思われたんでしょう」と笑う。

ブレークのきっかけは、フジテレビ系「さんまのお笑い向上委員会」で明石家さんま(63)に、はまったこと。「リズムネタの『ヘイヘイドクター』をやったら、さんまさんが『なんや、この動き』と。今田耕司さんも『ダンスがきしょくて、ネタが入ってくれへん』と笑ってくれました。その後は、さんまさんがヘイヘイドクターを、いろいろなところでやってくれたり、番組に呼んでくれたりしました」。

“さんまの息子”として、YouTubeの「ヘイヘイドクター」の再生回数は360万回を超えた。放送中の日本テレビ系連続ドラマ「白衣の戦士!」(水曜午後10時)では、医師役で俳優デビューも果たした。「俳優業は、舞台よりも緊張しましたね」。現在も週に2回は、薄毛のクリニックや一般内科で医師として勤務する。「舞台で『しゅんPのお笑いホスピタル』というコーナーをやってるんですが、目標はテレビで医療番組のMCをやること。『しゅんPの家庭の医学』みたいな、面白くてためになる番組をできれば」と話している。

YouTube、インスタグラムなどSNSでの発信にも力を入れる。「若い人に見てもらって、医療にも興味を持ってもらえれば。『お笑い界にメスを入れる』のが目標です。医者と芸人、二足のわらじで働き方改革を目指します」。さらに、吉本坂46のREDのメンバーとして、アイドル活動もこなしている。「応援じゃなく、アイドルとして歌で紅白のステージに出るのも大きな目標です」と笑顔を見せる。

先月に亡くなったケーシー高峰さん(享年85)は医療漫談で、昭和の時代に一世を風靡(ふうび)した。平成の時代は、高須クリニックの高須克弥院長(74)がネットで話題を提供し続けた。令和の時代は、医師免許を持ったお笑い芸人の出番だ。しゅんしゅんクリニックPは「先輩たちのように、新しい風を吹かせたいですね」と話している。

◆しゅんしゅんクリニックP(ぴー)1983年(昭58)7月2日、群馬県前橋市生まれ。群馬大医学部を卒業して医師免許を取得、2年間の研修医を経て、10年にNSC東京入所。11年にお笑いコンビ、フレミングでデビュー。16年に解散してピン芸人に。趣味はギター、ダンス。174センチ、67キロ。血液型O。

▼医師免許を持ったお笑い芸人 メジャーどころでは、しゅんしゅんクリニックPが初めて。九州吉本所属のヒロシマハジメ(32)が九大医学部卒で14年に大阪NSCに入所して芸人に。東大医学部卒のDr.クララ(53)は、千葉で耳鼻咽喉科を開業しているが13年にワタナベコメディースクールに入所して芸人に。イブ&クララという男女コンビで活動していたが17年に解散して、ピンに。