向田邦子賞の野木さん「けもなれで取れてうれしい」

「第37回向田邦子賞」を受賞した野木亜紀子さん(左から5人目)を祝福する新垣結衣(同4人目)。左から一ノ瀬ワタル、近藤公園、田中圭、2人おいて松田龍平、山内圭哉、犬飼貴丈(撮影・大井義明)

優れたテレビドラマの脚本に贈られる向田邦子賞の贈賞式が28日、東京・帝国ホテルで行われ、「獣になれない私たち」(日本テレビ系)の脚本家、野木亜紀子さんが初受賞した。

野木さんはまず「実は去年『アンナチュラル』という脚本でいろんな賞を頂いたんですが、向田邦子賞は辛くも…惜しいのか知らないですけど(笑い)、頂けなかったんですけど、TBSの皆さんは『何で去年取ってくれなくて今年なのか』と、みんな思っているわけですよ。日テレにもお世話になった、TBSにもお世話になった…」と苦笑いした。

ただ野木さんは「TBSの人は『アンナチュラル』で取って欲しかっただろうけど、私は『獣になれない私たち』で取れたことが、とてもうれしくて。というのも、新垣結衣さんと4回目のドラマでして、私が欲しかった賞を新垣さん主演のドラマで取れたということは、これまで4回やった中で、なんか良かったな、と思ってます」とコメント。通称「けもなれ」の同作について「とても思い出深い、思い入れあるドラマ。分かりやすいドラマではないし、ドラマ的に受ける部分をことごとく避けて作った、チャレンジした作品。その作品を評価していただけたということが、心からうれしい」と笑顔を見せた。

選考委員の大石静氏は、今回のノミネート作が「けもなれ」と、武藤将吾氏の「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)の2作の争いであったと明かし、「3年A組もとても挑戦的な作品で、物語の構築力も素晴らしく、勢いもあるものでしたので、選考委員会も時間がかかり、議論が飛び交いました」と説明。「けもなれ」について「ラストのカタルシスの中で結論を出さなければならないという従来のドラマ作りをはるかに飛び越えて独自のまなざしで人間を構築されている。セリフが野木さんらしいオリジナリティーにあふれている」と評価した。

贈賞式には、ドラマに出演した新垣結衣(30)松田龍平(36)田中圭(34)犬飼貴丈(24)近藤公園(40)一ノ瀬ワタル(33)山内圭哉(47)らが祝福に訪れた。

同賞は向田邦子さんが亡くなった81年の翌年82年からスタートし、今回で第37回。