映画「カメラを止めるな！」の上田慎一郎監督（35）が、同作で助監督を務めた中泉裕矢氏（39）とスチールを担当した浅沼直也氏（34）と共同監督＆脚本を務めた新作映画「イソップの思うツボ」で、石川瑠華（22）井桁弘恵（22）と漫画家・内田春菊氏の娘の紅甘（ぐあま＝19）が、ヒロインを務めることが分かった。30日、配給のアスミック・エースが発表した。公開日は、8月16日に決まった。

石川は17年に活動を始め、JR東日本のCMや、ゆずの18年「イコール」のMVに出演するなど活躍の場を広げる新進の女優だ。今作では家族の仲も良く、カメだけが友達の内気な女子大生・亀田美羽を演じる。「すてきな3人の監督と、魅力的なキャスト、スタッフの皆さんとご一緒した大切な作品です。そこに主演として参加させていただけたこと、光栄でしたが、大きなプレッシャーでもありました。それぞれの監督の色もあるので、どう混ざり合うのか想像出来なかったんですが、完成した作品を見るとその色の混ざり合いがとても魅力的になっていました。ハラハラワクワクする作品になってますので、ぜひ劇場に足を運んで楽しんでいただきたいです」とコメントした。

井桁は14歳でデビューし、17年に日本テレビ系「ZIP！」のリポーターを1年間務め、リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ11代目CMガール」に抜てきされた。18年のBSジャパンドラマ「極道めし」では、福士誠治演じる主人公の妻を演じた。今回の出演について「3監督の現場は、めまぐるしい状況の変化についていくのに必死でしたが、カットがかかるたびにキャストの方々含め、みんなで意見を出し、話し合いながら作品を作りあげていく時間はとても幸せでした」と感想を語った。

劇中では、大人気のタレント家族の娘で、石川演じる美羽の同級生でもある恋愛体質の女子大生・兎草早織を演じる。「私が演じた兎草早織は演じていてつらいシーンもありましたが、その中で、家族の愛や友情から早織としてはもちろん、私としても考えさせられることがありました。最後まで息つく暇がなく、結末も予想できないこの作品をぜひ楽しんでいただきたいです」とコメントした。

紅甘は07年に女優として活動を始め、同年の「カインの末裔」で映画デビューを果たした。その後は、母である内田の漫画をドラマ化した15年のフジテレビ系「南くんの恋人～my　little　lover」など、多数の作品に出演している。今作では、父と2人で復しゅう代行屋を営み、その日暮らしの生活を送る戌井小柚を演じる。「オーディションのときの、だんご3兄弟のような監督3人が放つ、少年的なまぶしさが忘れられません。出演が決まった時は、映画に出られることよりも、3人の仲間に入れることがうれしかったです。とにかく楽しい、カオスな修学旅行みたいな現場でした。この作品の行く末に、あのときに見た、まぶしさがあればいいなと思います」とコメントした。

3ヒロインの名字にはそれぞれ、「亀」「兎」「戌」と動物の名前が紛れており、ストーリーとの関係性にも期待が高まる。3人に加え、小柚の父戌井連太郎を斉藤陽一郎、タレント一家・兎草家のマネジャー田上を藤田健彦、美羽と早織の大学の臨時講師・八木圭佑を高橋雄祐、早織の父・兎草信司を桐生コウジ、謎の男・近藤を川瀬陽太、美羽の母・亀田美紗子を渡辺真起子、早織の母・兎草裕子を佐伯日菜子が演じる。

「イソップの思うツボ」で共同監督を務める上田監督と中泉監督、浅沼監督は、15年のオムニバス映画「4／猫　ねこぶんのよん」で各話の監督を担当した間柄だ。そして昨年、わずか300万円で製作された「カメラを止めるな！」でもチームを組んだ。「カメ止め」は都内2館で公開後、全国375館での拡大公開、224万人動員、興行収入31億円突破と、日本映画史に残る社会的なムーブメントを巻き起こした。

「イソップの思うツボ」の撮影は18年に9日間で終え、編集などのポストプロダクション（ポスプロ）を行ってきた。ただ、キャストや公開日が決まった現段階でも、作品のカギを握る重要なキーワード「三角関係」、「復讐（ふくしゅう）」、「カメ」の3つと、ガラス製とみられる透明な洗面器の中にいるカメが写った写真以外、詳細はベールに包まれたままだ。

今作は、埼玉県川口市に2003年にオープンした、映像関連産業を核とした次世代産業の導入・集積を図るSKIPシティの中核施設「彩の国ビジュアルプラザ」の支援を受けて製作された。そのSKIPシティで7月13日に開幕する、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019のオープニング作品として、ワールド・プレミア上映されることも決定した。