指原は最後までアイドル全う 粋な演出今後も続くか

ファンを楽しませた指原莉乃(2019年5月28日撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

指原莉乃(26)が、最後まで“粋な”演出でアイドル人生を締めくくった。

先月28日、マリンメッセ福岡で「指原莉乃 11年ありがとう! 大感謝祭」を行った。そのちょうど1カ月前の4月28日、横浜スタジアムで「卒業コンサート」を行ってグループを卒業していたが、改めて地元ファンへの感謝を目的に開催。ただ、すでに卒業コンサートは行っていたため、感謝祭で何をするのかに注目していた。

ふたを開けてみれば「指原莉乃とHKT48のライブ」だったが、それがただのライブではなかった。指原は「卒コンに全力で(感謝祭で何をしようか)ボロボロだったけど、意外と考え出したら良くなっていった。また違う思い出の曲を振り返りたいと思います」。指原の11年のアイドル人生をたどる構成でありながら、今後も続いていくHKT48を全面にアピールし、さらに継承や激励の思いを、さまざまな粋な演出に詰め込んでいるように思えた。

この日の指原は、アンコールの美空ひばりさん風の真っ赤なドレス衣装以外は、私服風のワンピースだけを着て、楽曲衣装は封印した。すでに卒業している…という意味合いもあるだろうが、とにかく後輩たちを前面に立たせる意図を感じさせた。

さらに、この1カ月の間に卒業を発表し、この日が最後の“大舞台”にもなった岩花詩乃(19)や駒田京伽(22)をセンターに起用したり、デュエット相手に指名。3月に卒業し、ゲスト出演した冨吉明日香さんも加えて同じ「2期生」だけの楽曲も2曲用意するなど花道も作った。

それでいて、指原のファンも十二分に楽しめる構成を組んだ。08年3月に初めてAKB48劇場での公演に出演した時は、「純情主義」のバックダンサーだったが、後輩にメインパートは任せて、自らは当時と同じポジションでバックダンサーを務めた。

また、選抜総選挙での初選抜曲「ヘビーローテーション」でも、最後列の端っこのポジションを再現した。当時は、ミュージックビデオに数秒しか映らず、それがネタになって1日限定で芸名が「さしこ」に改名される事態にもなった思い入れのある楽曲。自分のパートだけを歌い、その他の大島優子、前田敦子らのパートはファンに歌唱を任せるシュールな演出で笑いも誘いつつ、自然と会場を1つにしていた。

最後の曲は、13年2月にHKTがCM出演した際に使用された「タンスのゲン」。タンスを使ったコミカルなダンスが特徴の、“まさか”の選曲に会場がどよめいた。さらに、マイクをステージに置くのではなく、タンスの中にしまうという前代未聞の演出で、最後まで楽しませた。

今回の感謝祭で完全にアイドルを卒業した指原だが、今後HKT48の新公演の楽曲を書きおろすことが決まっている。この日は公演タイトル曲でもある「いま、月は満ちる」をいち早く指原が歌って披露。3日にはツイッターで、さらなる公演曲の制作のために、メンバーの歌声を収集していることを明かすなど、一部グループには関わっていくことになるが、そこでもどんな粋なことが待っているのか、さらに楽しみを抱かせる感謝祭でもあった。【大友陽平】