良くも悪くもスマートだったピエール瀧被告の初公判

ピエール瀧被告(19年4月4日撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

今月5日、東京地裁で開かれたピエール瀧(本名・瀧正則)被告(52)の初公判を傍聴した。コカインを摂取したとして、麻薬取締法違反の罪に問われていたが、起訴内容を認めるとともに、今後も音楽活動を継続したい意向を明らかにした。

印象的だったのは、瀧被告が終始落ち着いていた様子を見せていたことだった。上下黒のスーツに紺のネクタイをして入廷。一礼して、歩を進めると傍聴席を見渡し、芸能リポーターらの姿を見つけたからか「どうも」と笑顔であいさつする場面もあった。裁判官から本人確認のために前に立つように指示されると、ゆっくりと立ち上がりながら、スーツのボタンを締めて、裁判官に真っすぐに向き合った。

公判中も、時折うなずいたり、神妙な表情を見せながら、検察官や弁護人、情状証人の言葉をしっかりと受け止めている様子だった。またコカインを使用した理由についても「ストレス解消の手段は他にあると思うが、自分の心の甘さがあった。ストレスとは心にたまる澱(おり)のようなもの。近年は役者の仕事をするようになり、時間的、精神的に私生活を圧迫していた」とよどみなく話した。おそらく性格的にも、動じるような年齢でもないのだろうが、良くも悪くも“スマート”な公判に見えた。

ファンや仕事関係者に対して「正直にごめんなさい」と謝罪し、最後は「2度と薬物に手を出さない」と誓った。弁護側も、まずは治療に専念する意向を明らかにしている。18日に判決が下される。周囲の信頼をどのように取り戻していくのか。音楽活動や役者としての活動はどうなっていくのか。今後も注目されることは、間違いなさそうだ。【大友陽平】