イッテQに放送倫理違反 BPO、祭りやらせ疑惑で

日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」について会見する放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(撮影・大井義明)

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は5日、都内で会見を開き、やらせ疑惑が報じられ審議入りしていた日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」の祭り企画問題についての意見書を報告した。

意見書では、「ラオス・橋祭り」(18年5月20日放送)「タイ・カリフラワー祭り」(17年2月12日放送)ともに、祭りは現地のコーディネーターが主催者と協力し番組用に用意したものであったが、番組の制作スタッフが把握していなかった、と結論づけた。その上で、「程度は重いとは言えないものの、放送倫理違反があったと言わざるを得ないと判断した」とした。

検証委の升味佐江子委員長代行は「バラエティー番組なので、自らの企画として祭りを用意して収録することはあり得る。ただ今回は現地のコーディネーターが企画したものということを番組スタッフが把握していなかった」。また「用意したお祭りであることを隠蔽(いんぺい)するような、そこにあおりが入ったような『年に1度の』とか『前年王者』とか、事実と異なるナレーションを付けたことを問題視した」とし、「制作過程を適正に保つ努力がされなかった。またナレーションとスーパーで、出演者がもともとある祭りに参加しているよう誘導した点で、多くの視聴者が番組に求める約束に反したものだったといわれてもしかたない」とコメントした。

検証委は日テレや制作会社のプロデューサー、現地コーディネーターら12人から16時間にわたりヒアリングした。

「橋祭り」については、現地コーディネーターがラオスに日本人観光客を呼び込むため、タイなどで行われていた「自転車一本橋渡り」をラオスで行うアイデアを発案。「番組スタッフの関与しない現地サイドの“企画打ち合わせ”を経て『ラオス・橋祭り』の設備や内容の大枠ができあがった」とした。18年3月26日には、その企画の図面が担当ADに送られ、ディレクターにも渡されたが、2人はこの図面を、現地で関係者が相談し考案された装置ではなく、イベントが実際に行われていることを示す資料と誤解。「この誤った認識は最後まで修正されることなく、他のスタッフにも共有されてしまった。また会場に到着したディレクターが、いかにも“セット”のような設備に違和感を覚えたもの、日本のテレビ局が来ることで、現地の人がいつもより力が入ったと思い、違和感を抱いたまま確認しなかった」としている。

「タイ・カリフラワー祭り」についても、現地コーディネーターと村の人が、実際にある「キャベツ収穫競争」ではキャベツのサイズが小さくてテレビ映えがしないと相談。コーディネーターが担当ADにカリフラワーに変更することを報告した。担当ADが収穫祭でカリフラワーを収穫しているか確認したところ、「キャベツ、カリフラワー、タマリンドなどで行っている」と返事があったしている。

一方で、意見書では審議の過程で検証委員が同番組を視聴したことも記載。「この番組が多くのファンをつかむ原動力となった遊び心や、制作者と出演者が一体となって生み出す情熱のようなものを感じた。そのことはBPOに視聴者意見として寄せられたファンの応援の声からも伝わってきた」とし、「世の中の権威や無意味な制約を笑いとばし、差別や偏見のばかばかしさを暴き、新たな驚きや笑いを視聴者に届ける、そのようなしなやかさや気概をバラエティー制作者には持ち続けて欲しい」とコメントした。

意見書ではさらに「『祭り企画』について日本テレビは、視聴者に自信を持って提供できる態勢を整えたのち再開したい意思があると聞く。再開の折には、視聴者はより敏感な目を持って画面の前に座るだろう。その視線を取り込み、さらにはその視線にツッコミを入れるくらいに完成度の高い『祭り』に出合えることを期待する」と、祭り企画の再開に否定的見解は示さず、より高いクオリティーを目指すようエールを送った形となった。

放送倫理検証委員会は1月11日に「祭り企画」の審議入りを決定していた。