池松壮亮「歯3本ささげても…」鬼気迫る演技で圧倒

映画「宮本から君へ」完成披露舞台あいさつの池松壮亮(2019年8月22日)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

主演映画「宮本から君へ」の27日公開を前に、池松壮亮(29)にインタビューする機会があった。

この人の成り切り演技には「好演」や「熱演」といった言葉では言い尽くせないものがある。

5年前のドラマ「MOZU」(TBS、WOWOW)では冷酷な女装の殺人鬼を演じた。あり得ないような人物が不思議とリアルに見え、救いの無い設定に人間味さえ宿って見えた。昨年の映画「君が君で君だ」では、愛する女性の髪をむさぼり食べた。口の中とのど越しの違和感が伝わってくるような生々しい演技で、見ているこちらが気持ち悪くなった。

本人は「愚かさから崇高さまで、人間の幅広さに興味があります。偏った役でもいつの間にか自分を重ねて、あれっ、おれってこんなところもあるんだって思うことがあります」とさらっと振り返る。

新作「宮本-」は度を超えた熱血営業マンが主人公だ。7年前に原作マンガ(新井英樹作)を読んで以来、この作品にほれ込んだ池松の念願の映画化だけに、役作りはすさまじい。

恋人の尊厳を掛けたケンカでは顔をボロボロにされ、高層マンションの決闘シーンではノースタントで非常階段から半身を乗り出している。後半は前歯が3本無い。試写を見た時は、池松はとうとう撮影のために抜歯までしたのか、と思った。

「僕だけじゃなく、誰かの人生のバイブルになっているきた作品の映画化ですからね。歯を3本くらいささげて、それで何とかなるんだったら、それくらいしてもいいと思っていたんですけどね…」

実は原作者の新井氏に本気で止められ、特製のマウスピースで撮影したというのが真相である。同様に原作にほれ込んだ真利子哲也監督(38)も「いい映画を残したいとの気持ちが先走って、池松壮亮とは白熱した議論が幾度となくありました」と明かす。主人公のキャラクター同様に熱血の撮影現場だったようだ。

恋人役の蒼井優(34)も文字通り体当たりの熱演。成り切り俳優、池松の新作に込められた熱量はすさまじい。