月組珠城りょうがウィーン発人気ミュージカルに挑戦

月組トップ珠城りょう(左から4人目)がホテルの御曹司を演じた日本初演ミュージカルに出演した(左から)女優役の美園さくら、そのマネジャーの月城かなと、主人公の母海乃美月、父を演じた鳳月杏(撮影・村上久美子)

宝塚歌劇の月組公演、ウィーン発ミュージカル「I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-」が4日、兵庫・宝塚大劇場で初日を迎えた。

月組は、前作「夢現無双」で2番手スター美弥るりかが退団。花組から鳳月杏(ほうづき・あん)が復帰し、新生月組の船出となった。

ウィーン発ミュージカルの日本初演。今作の稽古前、トップ珠城(たまき)りょうは現地へ観劇に行き、観客にもあいさつ。「あの時のにおいをよみがえらせて演じたい」と言い、役作りに取り組んだ。

両親が手がける老舗ホテルを「五つ星」にしようと奮闘する青年を軸に、ユーモラスに描くミュージカル。ハリウッド女優の来訪を従業員がツイートし、起こる騒動の末に、「幸せ」の答えを見つけるストーリーだ。トップ本拠地6作目の主演になる珠城りょうは大作に「責任と、誇りを感じています」と言い、熱演を見せた。

本場版では主人公になっているハリウッド女優は、トップ娘役美園さくらがヒロインとして情感豊かに表現。そのマネジャー役を、2番手に昇格した月城かなとが好演した。月城は前作「夢現無双」を途中休演し、以来の舞台復帰。フィナーレでは、踊りも披露して元気な姿を見せてファンをわかせた。

芸達者な鳳月杏(ほうづき・あん)は、珠城演じる主人公の父を、硬軟織り交ぜて表現。新人公演を卒業し、次世代リーダー候補の筆頭、暁千星(あかつき・ちせい)は、アルゼンチンのサッカー選手を演じ、ハードな動きで魅了した。

また、新人学年ながら進境著しい風間柚乃(かざま・ゆの)は、ハリウッド女優の来訪をSNSに拡散させてしまう従業員役。トップ演じる主人公と親友の設定だったが、トップを相手に堂々と渡り合い。宝塚音楽学校時代から、素質の片りんを見せていた芝居巧者ぶりを存分に発揮した。

宝塚大劇場公演は11月11日まで。東京宝塚劇場は11月29日~12月28日。

◆「I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-」(オリジナル・プロダクション=ウィーン劇場協会、潤色・演出=斎藤吉正) 日本オーストリア友好150周年記念。「エリザベート」「モーツァルト!」などを生み出したウィーン劇場協会が、17年9月に制作したミュージカル。今年6月までロングラン上演の大ヒットとなった。

物語の舞台はウィーンの老舗ホテル。青年ジョージ(珠城りょう)は、伝統を守る両親と対立する革新的案を掲げ、悲願の「五つ星」獲得を目指す。その最中、人気女優エマ・カーター(美園さくら)がお忍びで来訪。従業員がSNSへ投稿し、ホテルは混乱する。