石坂浩二涙、八千草さんは寅さん的に言えばマドンナ

八千草薫さんの思い出を涙を浮かべて語る石坂浩二(撮影・大井義明)

俳優石坂浩二(78)が八千草薫さんの訃報に接して大粒の涙をこぼした。この日午後、訃報を聞き「すごく驚いた」という石坂。最後に会ったのは7月の同局「やすらぎの刻~道」収録現場だった。「その時はとてもお元気だったんですが。こういう日が来てしまった」と言葉を詰まらせた。

94年のTBS系ドラマ「女の言い分」では夫婦役を演じた。「夫が缶切りがうまいという設定で、練習して開けてみせると、優しい目で『うまいじゃない』とおっしゃって」と回想した。初めて八千草さんに会ったのは70年。八千草さんの夫、谷口千吉さんが万国博の記録映画の現場だった。「本当にドキドキというか。憧れの人に会うのはちょっと息ができない感じ」。石坂にとっての「寅さん的に言えばマドンナ」と表現した。

石坂は自身が02年に直腸がんの手術を受けたことにも触れ、「ちょっと前のように、すぐ死んでしまう時代でもないんで、負けないんだろうと思っていたんですけど」と無念の表情を見せた。天国の八千草さんにかける言葉を聞かれると「お礼の言葉しかないですけど、もう一度ぜひ、ご一緒したかった」。最後まで目を赤くしていた。